ジェット (オーストラリアのバンド)

ジェット（Jet）

ジェットは、オーストラリア・メルボルン出身のロックバンドです。2003年にリリースされたデビューアルバム『ゲット・ボーン』は世界中で350万枚以上を売り上げ、一躍スターダムにのし上がりました。2012年に一度解散しましたが、2016年に活動を再開し、再びファンを魅了しています。

来歴

結成 - 「ダーティー・スウィート」

ニック・セスターとクリス・セスターの兄弟は、幼少期から父親のコレクションである1960年代、1970年代のクラシック・ロックに親しんで育ちました。特にビートルズやローリング・ストーンズから大きな影響を受け、オーストラリアのロックバンド、ユー・アム・アイからも影響を受けたとニックは語っています。

セスター兄弟は、ニックの学校の友人であったキャメロン・マンシーと、父親の香辛料工場で働いていたダグ・アームストロングと共にバンドを結成することを決意します。2001年にはクリスの友人がキーボードとしてバンドに参加し、この時期にバンド名をジェットとしました。バンド名の由来はウイングスの楽曲「ジェット」からという噂がありましたが、クリスはこれを否定しています。デビューアルバム収録曲の「レディオ・ソング」は、この時期の自分たちの音楽が評価されなかったことへの思いを歌ったものです。

2002年、バンドはコンサートでマーク・ウィルソンと出会い、ベースプレイヤーがいたにもかかわらず、彼にバンドへの参加を打診します。マークは当時別のバンドに所属していましたが、数日後にジェットへの加入を希望し、現在のメンバー構成となりました。

現在のメンバーで構成されたバンドは、2002年に「ダーティー・スウィート EP」をリリースしました。このEPのタイトルは、T・レックスの楽曲「ゲット・イット・オン」に由来します。リリース時期がザ・ヴァインズのブレイクスルーと重なり、海外でオーストラリアのロックへの関心が高まる中、「ダーティー・スウィート EP」からのシングル「テイク・イット・オア・リーヴ・イット」はNMEから称賛され、エレクトラ・レコードから2003年に再リリースされました。

アルバム『ゲット・ボーン』

デビューアルバム『ゲット・ボーン』を制作するため、バンドはロサンゼルスのスタジオにプロデューサーのデイヴ・サーディを迎えました。サーディはローリング・ストーンズやオアシスなどのバンドを手掛けた実績を持つ人物です。また、2曲ではキーボード奏者のビリー・プレストンが参加しています。『ゲット・ボーン』のアルバム名は、ボブ・ディランのアルバムに収録されている楽曲の歌詞の一節に由来しています。

レコーディング中盤には、ローリング・ストーンズから2003年のオーストラリア公演のサポートオファーが届きました。メジャーデビュー前にも関わらず、フジロックフェスティバルで初の日本公演を行い、アメリカでのデビュー時には、メジャーレーベル間で争奪戦の末、エレクトラ・レコードと契約しました。契約金は新人としては破格の120万ポンドという噂がありましたが、レコード関係者に否定されています。

アルバム収録曲の「アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール」と「ロールオーヴァー・D.J.」は、オーストラリアの音楽チャートでそれぞれ1位と19位を獲得。「アー・ユー・ゴナ・ビー・マイ・ガール」は、ゲームや映画のサウンドトラック、広告にも使用されました。この曲はイギー・ポップの「ラスト・フォー・ライフ」に酷似していると指摘され、ローリングストーン誌の「クレイジーなほど似ている曲トップ20」で1位に選ばれています。「ロールオーヴァー・D.J.」は、ゲーム「グランツーリスモ4」に収録されました。また、「ティモシー」はキャメロンの亡くなった兄に捧げられた曲です。

2004年初頭には、ザ・ヴァインズ、リヴィング・エンドと共にアメリカツアーを行いました。同年には、『ゲット・ボーン』未収録曲「ホールド・オン」が映画「スパイダーマン2」のサウンドトラックに収録されました。

家族の病気を理由にグラストンベリー・フェスティバルへの出演をキャンセルしますが、同年、オーストラリアレコード産業協会の賞で7部門にノミネートされ、そのうち6部門を受賞しました。ニックは、他のオーストラリアのロックバンドのメンバーとスーパーグループを結成し、活動もしています。

アルバム『シャイン・オン』

2006年9月、セカンドアルバムからの先行シングル「プット・ユア・マネー・ホエア・ユア・マウス・イズ」をリリース。同月30日にはセカンドアルバム『シャイン・オン』を発表しました。オーストラリアのチャートで3位となりますが、デビューアルバムほどの成功は収められませんでした。アルバムの評価は賛否両論でした。日本版のCMには、エアギター選手権で優勝したお笑いコンビが出演し、国内盤には甲本ヒロトのコメントが掲載されています。

コペンハーゲンで行われたMTVヨーロッパ・アワーズに出演し、ワールドツアー中止後の初ライブとなりました。アルバムからのセカンドシングルとして、「ブリング・イット・オン・バック」（イギリス）と「リップ・イット・アップ」（オーストラリア）がリリースされました。また、同年12月には『シャイン・オンEP』をリリースしました。

2007年3月には、アルバムからのサードシングル「シャイン・オン」をリリース。この曲は、2004年に亡くなったニックとクリスの父親に捧げられた曲です。また、映画「スパイダーマン3」のサウンドトラックには、新曲「フォーリング・スター」を提供しました。

バンドはオーストラリアに戻り、AFLグランドファイナルで演奏し、ワールドツアーを終えました。その後、ウェブサイトでサードアルバムの制作を2008年リリースに向けて開始すると発表しましたが、2007年10月にバンドは無期限の活動休止を発表しました。バンドは『シャイン・オン』のツアー後、休養が必要だと述べました。同月、クリスとマークはThe Vice Lordsとして日本のデュオSuperflyをプロデュースしました。

アルバム『シャカ・ロック』

2008年、イギー・ポップとジョニー・オキーフの楽曲「ワイルド・ワン」をコラボレーションしました。オーストラリアの山火事チャリティーコンサート「サウンド・リリーフ」に出演し、コールドプレイやキングス・オブ・レオンなどのアーティストと共演しました。

2009年4月、楽曲「K.I.A.」を公式サイトで公開。アルバムからのファーストシングルとして「シーズ・ア・ジーニアス」がリリースされました。同年8月、サードアルバム『シャカ・ロック』をリリースしました。アルバム名は、ズールー族の将軍に由来します。

一度目の解散、その後の活動

2012年3月26日、公式ホームページにてジェットは解散を発表しました。長年の活動とファンへの感謝を述べ、「この素晴らしい物語は、皆がいなければ起こらなかった」とコメントしました。

ベースのマーク・ウィルソンとドラムのクリス・セスターは、2011年6月にDAMNDOGSを結成し、活動を開始。JETらしいロックンロールサウンドにエレクトロ要素を加えたサウンドが特徴で、デビューEPをリリースしています。

フロントマンであるニック・セスターは、2013年にソロプロジェクトの曲を製作中であることが発表されました。2014年にはTwitterアカウントを開設し、ソロでの音楽活動再開を発表しましたが、フォロワー数の伸び悩みに苦慮し、アカウントを削除しました。

再結成

2016年、2017年2月より行われるブルース・スプリングスティーンのライブツアーに同行する形で、再結成ライブを行うことが発表されました。2017年1月にはニック・セスターのSNSアカウントも再開され、ソロライブの情報などが告知されています。メルボルンやシドニーなど、主にオーストラリアでソロ活動を行なっています。また、フジロックフェスティバル2017にジェットの出演が発表され、約7年ぶりの来日公演を行いました。2018年には8年ぶりの来日ツアーも予定され、多くのファンから期待が寄せられました。

メンバー

現メンバー

ニック・セスター (Nicholas John Cester) - ギター、ボーカル（2001年 - 解散、2016年 - ）。
イタリア人の父とスコットランド人の母の間に生まれた。
おじがギターを弾いているのを見てギターを始める。

クリス・セスター (Christopher Cester) - ドラムス、ボーカル（2001年 - 解散、2016年 - ）。
ニックの弟。いくつかの曲でギターとボーカルも担当。

キャメロン・マンシー (Cameron Muncey) - ギター、ボーカル（2001年 - 解散、2016年 - ）。
ニックと同じ高校に通っていた。
クリームの楽曲を聴いてギターを始める。

マーク・ウィルソン (Mark Wilson) - ベース（2002年 - 解散、2016年 - ）。

旧メンバー

ダグ・アームストロング (Doug Armstrong) - ベース （2001年 - 2002年）
ジェイソン・ドゥーカス (Jason Doukas) - キーボード （2001年）

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

『ゲット・ボーン』 - Get Born（2003年）
『シャイン・オン』 - Shine On（2006年）
『シャカ・ロック』 - Shaka Rock（2009年）

コンピレーション・アルバム

『レア・トラックス』 - Rare Tracks （2004年）

EP

『ダーティー・スウィート EP』 - Dirty Sweet EP （2003年）
『シャイン・オン EP』 - Shine On EP （2006年）

シングル

(省略)

プロデュース

i spy i spy （2007年、Superfly×JET名義）

日本公演

2003年以降、フジロックフェスティバルや単独公演で複数回来日公演を行っています。

脚注

(省略)

外部リンク

公式ウェブサイト（英語）
ユニバーサル・ミュージック・ジャパン（日本語）
ワーナーミュージック・ジャパン（日本語）
ジェット - Myspace

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