ジェット風船

ジェット風船とは

ジェット風船とは、ゴム風船を飛ばすことを目的として開発されたものです。ロケット風船やスカイジェットバルーンとも呼ばれています。かつては球場の売店で応援メガホンが主流でしたが、近年ではジェット風船が人気を集め、特にプロ野球では1試合で1000万円以上を売り上げることもありました。

ジェット風船の構造

ジェット風船は、ゴムの収縮力を利用して空気を勢いよく噴射することで推進力を得ています。風船内部の気圧と外部の大気圧の差を利用し、風船の口を開けることで空気が噴出し、風船が飛びます。また、風船の吹き口にはプラスチック製の笛が取り付けられており、飛ばす際に音が出るようになっています。この笛は、かつて駄菓子によく見られた構造を流用したものです。

ジェット風船の歴史

ジェット風船は、1970年代から駄菓子屋や祭りなどのくじ引きで販売されていました。形状は球形と棒型の2種類があります。以前は、プロ野球やコンサートで紙テープを投げる応援が一般的でしたが、紙テープの芯が原因で事故が発生したため、ジェット風船がその代わりとして広まりました。

プロ野球におけるジェット風船

プロ野球でのジェット風船応援は、1978年に広島東洋カープのファンが甲子園で飛ばしたのが始まりとされています。しかし、一般的に定着したのは1985年の阪神タイガース優勝時で、甲子園を埋め尽くした阪神ファンが一斉に飛ばした光景が印象的でした。

ジェット風船を飛ばすタイミング

プロ野球では、7回表裏の攻撃前に「ラッキー7」として、ホーム・ビジターそれぞれのファンが一斉にジェット風船を飛ばすのが一般的です。特にホームチームの7回裏攻撃前には、球場全体に大量のジェット風船が飛び交う光景が見られます。また、2000年代以降は、チームの勝利時にもジェット風船を飛ばすファンが増えました。

各球場の対応

多くの球場でジェット風船が使用されていますが、一部の球場では禁止または制限されています。

ジェット風船禁止球場
東京ドーム：天井の構造上、気圧の変化が懸念されるため。
ナゴヤドーム：換気の妨げになるため。
明治神宮野球場：周辺へのゴミ飛散防止のため。
エスコンフィールドHOKKAIDO：新型コロナウイルス対策のため。
相模原市立相模原球場：試合進行妨害や周辺住宅地への飛散の危険性のため。

ジェット風船制限球場
札幌ドーム：ハンドポンプまたは専用パーツを使用した膨らませ方に制限。
福岡ドーム（みずほPayPayドーム福岡）：天井まで飛ばない専用の風船のみ使用可能。
MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島：飛距離が伸びない専用の風船のみ使用可能。
横浜スタジアム：飛距離が伸びない専用の風船のみ使用可能。

ジェット風船の色とチーム

チームによってジェット風船の色が異なります。
広島東洋カープ：赤色
横浜DeNAベイスターズ：青色
東北楽天ゴールデンイーグルス：赤色（勝利時は白色）
埼玉西武ライオンズ：青色
福岡ソフトバンクホークス：黄色（勝利時は白色）

過去には以下のようなチームもありました。
阪神タイガース：カラフル（近年は黄色が多い）
北海道日本ハムファイターズ：青色（勝利時は白色）
千葉ロッテマリーンズ：白色
オリックス・バファローズ：白色（勝利時は青色）

その他

Jリーグの試合でもジェット風船が使われることがあります。また、独立リーグや台湾プロ野球でも同様です。

感染症流行によるジェット風船規制

2009年の新型インフルエンザ流行と、2020年からの新型コロナウイルス感染症流行により、ジェット風船の使用が一時的に規制されました。特に新型コロナウイルス感染症の流行時には、全球場で使用が禁止されましたが、2023年以降、感染症法上の分類変更に伴い、徐々に再開する球団が増えています。

ジェット風船使用再開の現状

2024年のシーズン開幕からは、多くの球団でジェット風船の使用が再開されています。ただし、専用のポンプや膨らましパーツの使用に限定され、口で膨らませることは禁止されています。また、球団によっては再開を見送っているところもあります。

環境問題への配慮

ジェット風船の使用については、環境問題への配慮も求められています。野外に落ちた風船を野鳥が誤食する危険性や、自然環境への影響が懸念されています。そのため、一部の球場では使用が禁止されていたり、専用の風船を使用したりするなどの対策が取られています。


ジェット風船は、応援を盛り上げるための重要なアイテムである一方で、環境問題や衛生面など、様々な課題も抱えています。今後もこれらの問題点を考慮しながら、より良い応援の形が模索されていくでしょう。

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