ジェファーソン準州

ジェファーソン準州：幻の準州の興亡

ジェファーソン準州は、1859年10月24日から1861年2月28日までの短い期間に存在した、アメリカ合衆国によって承認されなかった準州です。現在のコロラド州を含む広大な領域を管轄しようとしましたが、その存在はわずか16ヶ月で終わりを迎えました。本記事では、ジェファーソン準州が設立された背景、その統治、そして最終的な解散について詳しく解説します。

設立の背景：ゴールドラッシュと自治の要求

1858年、現在のコロラド州で金が発見されたことから、パイクスピーク・ゴールドラッシュが起こり、一攫千金を夢見る人々が殺到しました。この地域はカンザス準州に属していましたが、カンザス準州政府は東部での紛争に手一杯で、西部への関与は薄れていました。そのため、この地域の開拓者たちは、自分たちの手で自治を行う必要に迫られました。

1859年3月、開拓者たちはアラパホ郡の役人を選出しましたが、カンザス準州議会が既にアラパホ郡を分割していたことが判明します。この状況を受け、開拓者たちは独自の政府を樹立することを決意しました。

ジェファーソン準州の誕生と苦難

1859年4月、地域政府の必要性を議論する集会が開かれ、トーマス・ジェファーソンにちなんで「ジェファーソン」という名称が選ばれました。憲法制定会議を経て、暫定憲法が起草され、準州政府の形成が承認されました。ロバート・ウィリアムソン・スティールが知事に選出され、準州議会が組織されました。

しかし、ジェファーソン準州は連邦政府に承認されることはありませんでした。カンザス準州との合併も失敗に終わり、準州政府は困難な状況に立たされました。さらに、1860年の大統領選挙でエイブラハム・リンカーンが勝利すると、南部諸州が合衆国から脱退し、ジェファーソン準州が承認される可能性はさらに低下しました。

郡の創設と首都の変遷

ジェファーソン準州議会は、1859年11月に12の郡を創設しました。これらの郡は、後にコロラド準州で再編され、現在のコロラド州の郡の基礎となりました。準州の首都は、当初デンバー市に置かれましたが、後にゴールデン市に移転しました。

解散とその後

1861年2月、連邦議会はコロラド準州を組織化する法案を可決しました。これにより、ジェファーソン準州はその役割を終え、スティール知事は解散を宣言しました。ジェファーソン準州議会によって作られた法の多くは、後にコロラド準州議会によって再度法制化され、正式に認められました。

ジェファーソン準州は、短命に終わったものの、コロラド州の歴史において重要な役割を果たしました。開拓者たちの自治の精神と、その後のコロラド準州の成立に繋がる基盤を築いたと言えるでしょう。

関連項目

コロラド準州
コロラド州の歴史

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