ジェマル・ギュルセル

ジェマル・ギュルセル

ジェマル・ギュルセルは、1895年10月13日にオスマン帝国のエルズルムで生まれました。彼は軍人の家庭に育ち、幼少期から優れた指導者としての素質を示しました。小学校を卒業後、エルズィンジャンの幼年兵学校を経て、イスタンブールのクレリ少年兵学校及び陸軍士官学校への進学を果たします。第一次世界大戦に従軍し、戦場での経験を積み重ねながら着実に昇進を果たし、特にガリポリの戦いでは少尉として名を馳せました。

ギュルセルは、1918年のメギッドの戦いで捕虜となり、実に二年間エジプトで拘束されます。その際の経験から英語を学ぶことはなく、代わりにフランス語を習得したと語っています。捕虜から解放された後、彼はイスタンブールに戻り、トルコ大国民議会派に加わり、独立戦争に尽力します。特にサカリヤ川の戦いにおける功績が評価され、1922年に大尉に昇進します。

彼の軍歴は45年に及び、その間に多くの要職に就任し、大将に昇進するなどキャリアを築き上げました。また、グループでの活動から彼は人々に愛される指導者とされ、国民からも厚い支持を受けていました。

クーデターと政権掌握

1960年3月、ギュルセルは上層部の老人との対立から国防省での地位を失い、やがて退役に追い込まれます。しかし、同年5月27日に青年将校たちによるクーデターが発生し、アドナン・メンデレス首相を含む多くの政治家が逮捕されました。ギュルセルは、臨時政府の指導者として選ばれ、急遽首都に移送されます。彼は国家元首、首相、国防相の役割を兼任し、新たな権力を手に入れました。

彼が誕生させた新政府は、逮捕された約200人の学生や9人の記者の解放を行い、発禁処分となっていた13の新聞も再び発行できるようにしました。また、法学者たちに命じて新憲法の草案を作成させ、自らも国民の支持を得るために努力しました。

ギュルセルは新憲法の策定に取り組む一方、軍部独裁に抵抗しながらも民主主義の復活に向けた取り組みを進めました。彼は自らの信念を守るため、度重なる暗殺やクーデター計画からも立ち向かい、政治的な環境を改善していきました。

大統領としての業績

1961年、ギュルセルは国民投票により正式にトルコ共和国の第4代大統領に選出されました。彼は国内外の様々な問題に対応し、キプロス紛争やキューバ危機といった重要な課題に直面しました。また、少数民族への配慮も忘れず、各民族の議会進出を認めるなど、国民からの支持を拡大させました。

ギュルセル政権下では、新憲法が承認されると共に国会が再開され、政府の権限に対するチェックを強化する措置が取られました。冷戦時代にあっても彼はソビエト連邦との関係改善を目指し、アメリカや西ドイツとの関係を持続的に強化しました。その結果、イスタンブールに原子炉が建設され、西側諸国との結びつきも増加しました。

最後の日々

しかし、1961年以降、ギュルセルの健康状態は悪化し始めます。1966年にはアメリカ合衆国に緊急入院後、意識を失い、トルコに戻ります。議会は憲法に基づき彼の大統領権限を停止。ギュルセルは、何の前触れもなく1966年9月14日に死去しました。彼の死後、アタテュルク廟の近くに埋葬され、その後1988年に国家墓地に改葬されることとなりました。

彼の生涯にわたる業績は、トルコの歴史において重要な位置を占めており、今なお多くの人々に記憶されています。

もう一度検索