ジェミニ6-A号

ジェミニ6-A号：軌道上ランデブーの幕開け

ジェミニ6-A号は、アメリカ合衆国の有人宇宙飛行計画であるジェミニ計画において、7番目に打ち上げられた宇宙船です。当初の計画から変更を余儀なくされたものの、ジェミニ7号とのランデブー飛行を成功させ、宇宙開発史に新たな一ページを刻みました。ここでは、その経緯と詳細について解説します。

計画の変更と再始動

当初、ジェミニ6号はアジェナ標的機とのランデブーを目的として、1965年10月に打ち上げられる予定でした。しかし、10月25日にアトラスロケットで打ち上げられたアジェナ標的機が、打ち上げからわずか6分後に爆発するという事故が発生。これにより、ジェミニ6号の打ち上げは延期を余儀なくされました。

計画は「ジェミニ6-A号」と名称を改められ、ジェミニ7号を対象としたランデブー試験を行うことになりました。ジェミニ7号が先に打ち上げられ、その軌道へジェミニ6-A号が合流するという計画です。長期宇宙滞在試験を目的としたジェミニ7号は、1965年12月4日に打ち上げられました。

打ち上げの試練と成功

ジェミニ6-A号の打ち上げは、1965年12月12日に予定されていましたが、ロケットエンジンの点火直後にコンピューターが異常を感知し、エンジンが停止。打ち上げは再び中止となりました。しかし、原因究明と対策に72時間を費やし、1965年12月15日13:37:26(UTC)にケープカナベラル空軍基地LC-19発射台より、ついに打ち上げに成功。近地点161km、遠地点259kmの軌道に投入されました。

軌道上でのランデブー

ジェミニ6-A号は、打ち上げから94分後に軌道変更を開始。当時1,175km前方を飛行していたジェミニ7号を追いかけるように、秒速5mほどで加速しました。2時間18分後の軌道修正では483km、3時間15分後には434kmまで接近し、レーダーでジェミニ7号を捕捉。近地点270km、遠地点274kmの軌道に入りました。微修正を繰り返しながら、打ち上げから5時間50分後には、2機の宇宙船は900mほどの距離でランデブー飛行を開始しました。

その後、90mから30cmという至近距離でのランデブー飛行を約270分（地球3周）にわたって実施。乗員の休息時間となり、ランデブーは一旦終了し、衝突回避のため16kmの距離をとりました。

クリスマスのサプライズと帰還

このランデブー飛行中、ウォーリー・シラー船長が小型のハーモニカで「ジングルベル」を演奏するというサプライズがありました。これは宇宙空間で演奏された最初の音楽として記録されています。

ジェミニ6-A号は、翌日ジェミニ7号に先駆けて大気圏へ再突入し、1965年12月16日15:28:50(UTC)に大西洋上へ着水。航空母艦ワスプに回収されました。アメリカ国防総省もこのミッションを支援し、人員10,125名、航空機125機、艦艇16隻が投入されました。

現在

ジェミニ6-A号は、現在オクラホマ州オクラホマシティのオクラホマ歴史センターにて、その歴史的な功績を称え展示されています。

搭乗員

船長：ウォーリー・シラー
パイロット：トーマス・スタッフォード

ジェミニ6-A号の成功は、その後のアポロ計画における月面着陸へと繋がる重要な一歩となりました。技術的な困難を乗り越え、宇宙開発の新たな可能性を切り拓いたジェミニ6-A号の功績は、永遠に語り継がれるでしょう。

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