ジェミニ7号

ジェミニ7号は、アメリカ合衆国の有人宇宙飛行計画であるジェミニ計画において、6番目に打ち上げられた宇宙船であり、その宇宙飛行計画を指します。1965年12月4日にケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。

概要

ジェミニ7号の主な目的は、月飛行計画を見据えた14日間に及ぶ長期宇宙滞在の実現でした。当初はジェミニ6号が先に打ち上げられる予定でしたが、ランデブー試験の標的であったアジェナ標的機の打ち上げ失敗により、ジェミニ7号の打ち上げが先行しました。ジェミニ7号の打ち上げ後、11日目にはジェミニ6-A号が打ち上げられ、軌道上でのランデブーに成功しています。

ジェミニ7号の飛行時間は、ジェミニ5号の記録を大幅に更新する13日18時間35分01秒に達し、これは1970年代のスカイラブ計画まで最長記録であり続けました。

[宇宙船]]の軌道投入後、搭乗員は長時間の宇宙服着用による不快感から、地上との協議の末に宇宙服を脱ぐことを許可されました。また、周回31周目には、潜水艦ベンジャミン・フランクリンが発射したポラリス[[潜水艦発射弾道ミサイル]の試験発射を軌道上から観測しています。打ち上げから5日目には、高度300kmの安定した円軌道へと軌道変更が行われました。

ジェミニ6-A号は、予定よりも遅れて12月15日に打ち上げられました。ジェミニ7号からは、打ち上げロケットの排気煙が観測されています。ジェミニ6-A号は近地点161km、遠地点259kmの軌道に投入され、打ち上げから94分後に軌道変更を行い、ジェミニ7号に接近しました。3回の軌道修正を経て、ジェミニ6-A号は近地点270km、遠地点274kmの軌道に入り、微調整を繰り返した結果、ジェミニ7号とのランデブーに成功しました。最接近時には距離30cmまで近づき、約270分間ランデブー状態を維持しました。その後、ジェミニ6-A号はランデブー試験の成功を収め、ジェミニ7号よりも先に12月16日に帰還しました。

飛行11日目には、実験などをほぼ完了したため、搭乗員は読書などをして過ごしました。この頃から、スラスターの不調や燃料電池の出力低下が報告され始めました。12月18日に大気圏再突入し、フロリダ半島沖の大西洋上に着水しました。着水地点は予定地点から11.8km離れていました。ジェミニ7号の支援には、アメリカ国防総省も関与し、人員10,125名、航空機125機、艦艇16隻が投入されました。

現在、ジェミニ7号はバージニア州のスティーヴン・F・ウドヴァー＝ヘイジー・センターに保管展示されています。

搭乗員

船長：フランク・ボーマン
パイロット：ジム・ラヴェル

予備搭乗員

船長：エドワード・ホワイト
パイロット：マイケル・コリンズ

エピソード

当時の宇宙船はスペースが限られており、トイレは設置されていませんでした。小便については吸引器が搭載されていましたが、尿漏れが発生することもあったようです。大便については、排便用のプラスチックバッグに用を足した後、防腐剤を入れてよく揉み、倉庫に収納することになっていました。しかし、この飛行では防腐剤が十分に混ざっていなかったバッグの便が発酵し、飛行7日目にガスの圧力でバッグが破裂、中身が船内に飛び散るという事故が発生しました。ミッションを中止することもできず、後半の7日間は便の異臭が漂う中で船内活動を継続せざるを得ない状況となりました。帰還後、ラヴェルはメディアの質問に対して「君は、トイレの中で一週間過ごしたことがあるか」と答えたとされています。

脚注

外部リンク

NASAによるジェミニ計画概説
NASA Gemini 7/Gemini 6 press kit - Nov 29, 1965
Gemini 7 Mission Report (PDF) January 1966
JAXAによる解説 - ウェイバックマシン（2007年7月1日アーカイブ分）

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