ジェリー・ファルエル

ジェリー・ファルエル：福音派の巨星、その光と影

ジェリー・ファルエル（1933年8月11日 - 2007年5月15日）は、アメリカのキリスト教福音派における重要な人物でした。南部バプテスト連盟に所属する牧師であり、テレビ伝道師としても活躍。保守派圧力団体「モラル・マジョリティ」を設立し、政治の世界にも深く関与しました。彼の活動は、アメリカ社会に大きな影響を与えた一方で、多くの議論も呼びました。

生い立ちと信仰への道

ヴァージニア州リンチバーグで生まれたファルエルは、不可知論者の父と無神論者の祖父を持つ家庭で育ちました。しかし、バプテスト聖書大学で神学を学び、牧師の道へ進みます。地元リンチバーグでトーマスロードバプテスト教会を設立し、その信徒数は2万人を超えるまでに成長しました。

教育活動と保守運動

ファルエルは、キリスト教教育の重要性を認識し、1967年にリンチバーグ・クリスチャン・アカデミー（後のリバティ・クリスチャン・アカデミー）を設立。さらに1971年には、リバティ大学を創設し、多くの学生を育成しました。これらの教育機関は、福音派キリスト教徒にとって重要な学びの場となっています。

1979年、ファルエルはモラル・マジョリティを設立し、保守的な価値観を政治に反映させるための活動を本格化させます。1980年の大統領選挙では、ロナルド・レーガンを支持し、その当選に貢献しました。

論争と批判

ファルエルの強硬な姿勢と過激な発言は、常に論争の的でした。彼の福音主義的な価値観は、一部の人々からは支持されたものの、他の人々からは批判されました。ジャーナリストのクリストファー・ヒッチンスは、ファルエルを痛烈に批判し、その偽善的な態度を非難しました。

法廷闘争

ファルエルは、その活動の中でいくつかの法廷闘争を経験しました。全米証券取引委員会（SEC）からの告発や、雑誌「ペントハウス」「ハスラー」との訴訟など、様々な法的問題に直面しました。特に「ハスラー」誌との訴訟は、言論の自由に関する重要な判例として知られています。

突然の死

2007年5月15日、ファルエルは職場で倒れ、そのまま死去しました。死因は不整脈または突然死とされています。彼の死は、アメリカの福音派キリスト教界に大きな衝撃を与えました。

遺産

ジェリー・ファルエルは、アメリカのキリスト教福音派に多大な影響を与えた人物です。彼の設立したリバティ大学は、現在も多くの学生が学ぶ重要な教育機関であり、モラル・マジョリティの活動は、その後のアメリカ政治における宗教右派の台頭に繋がりました。しかし、彼の強硬な姿勢と過激な発言は、社会に分断をもたらした側面も否定できません。ジェリー・ファルエルは、その功績と批判の両面において、アメリカ史に名を刻む人物と言えるでしょう。

著作

Church Aflame（1971）
Capturing a Town for Christ（1973）
Listen, America!（1980）
The Fundamentalist Phenomenon（1981）

外部リンク

* Jerry Falwell Ministries（公式サイト）

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