ジェリー・ローラー

ジェリー・ローラー：メンフィスの帝王、そしてWWEのレジェンド

ジェリー・ローラー。この名前を聞けば、多くのプロレスファンは、その名を冠した王冠とマントをまとい、圧倒的なカリスマ性で観客を魅了したレスラーを思い浮かべるだろう。テネシー州メンフィス出身の彼は、1970年代後半から1980年代にかけて、地元テネシーを主戦場として活躍し、その荒々しいファイトスタイルから「南部の帝王」の異名を取った。

ラジオDJからプロレスラーへ

彼のキャリアは意外なところから始まった。1960年代、ローラーはラジオDJとして活躍していた。その才能はプロモーターの目に留まり、プロレス興行の宣伝を依頼されたのをきっかけに、無料でトレーニングを受けることとなる。そして1970年、プロレスラーとしてデビューを果たす。

NWAトライステート地区を経て、1973年に故郷メンフィスに戻り、NWAミッドアメリカ地区でジム・ホワイトとのタッグチームを結成。サム・バスをマネージャーに迎え、ヒールとして名を上げていく。ジャッキー・ファーゴやジェリー・ジャレットらと南部タッグ王座を争い、シングルでは1974年に南部ヘビー級王座を初戴冠。以後、1987年までに52回もの戴冠を記録するなど、圧倒的な強さを誇示した。

アンドレ・ザ・ジャイアント、ボボ・ブラジル、ミスター・レスリング、ロッキー・ジョンソンといったそうそうたる顔ぶれと対戦し、常に観客のブーイングを一身に浴びるヒールとして君臨した。1977年にはビル・ダンディーとの髪切りマッチに勝利後、一度は引退を表明するも、すぐにベビーフェイスに転向して復帰。ジェリー・ジャレットと共にCWA（Continental Wrestling Association）を設立し、プロモーター兼エースとして活躍した。

CWA、USWAでの活躍とWWFへの参戦

CWAでは、一時的にヒールに戻ってジミー・ハートと組む時期もあったが、その後はテネシーの英雄として君臨。ドリー・ファンク・ジュニア、テリー・ファンク、ニック・ボックウィンクルといったレジェンドたちと激しい戦いを繰り広げた。特にテリー・ファンクとは長年の因縁があり、数々の名勝負を残している。

1980年代半ばには活動範囲を拡大し、AWAのバーン・ガニアやNWAのジム・クロケット・ジュニアらが設立した「Pro Wrestling USA」にも参加。WWFに対抗する存在として、その勢力を拡大していった。

1988年にはAWA世界ヘビー級[[王座]]を獲得。さらにWCCW世界王座を統一し、初代USWA統一世界王者となる。その後もUSWAが活動を停止する1997年まで、同王座を27回獲得するなど、その支配力は揺るぎないものだった。1989年には新日本プロレスに来日し、藤波辰巳らと対戦。1992年にはUSWAとWWFの業務提携に伴い、WWFのリングに初登場した。

WWF/WWEでの解説者としての活躍と晩年

当初はヒールとして活躍したWWF/WWEにおいて、彼は徐々に解説者としての才能を開花させる。ジム・ロスとのコンビは、生真面目な実況とローラーの軽妙な解説との対比が絶妙で、番組の人気要因の一つとなった。2001年には愛人問題でWWFを離脱するも、すぐに復帰。2007年にはWWE殿堂入りを果たし、解説者としてだけでなく、リング上でも現役選手と対戦するなど、精力的に活動を続けた。

2010年にはザ・ミズとの抗争、マイケル・コールとの確執など、ストーリー性のある活躍も披露。2012年には心臓発作で倒れるも、復帰を果たした。2016年にはドメスティックバイオレンスの容疑で逮捕されるなど、波瀾万丈な人生を送った。しかしながら、彼はプロレス界への貢献を認められ、レジェンドとして敬愛されている。2023年には脳卒中を発症するも、回復に向かっているとの報道がある。

獲得タイトルと得意技

ローラーは、AWA世界ヘビー級[[王座]]、USWA統一世界ヘビー級王座を始め、数々のタイトルを獲得した。彼の代名詞である得意技は、セカンドロープからのダイビング式フィストドロップ。この技で数々の相手を沈めてきた。その他、パイルドライバー、ブレーンバスター、ナックルパンチなども得意としていた。

ジェリー・ローラーは、プロレスラー、プロモーター、解説者として、常にプロレス界の中心にいた人物と言えるだろう。彼の残した功績は、これからもプロレスファンに語り継がれていくことだろう。

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