ジェンネ

ジェンネの概要

ジェンネ（フランス語: Djenné）は西アフリカのマリ共和国のモプティ州に位置し、モプティ市から130km、バマコから574kmにあたる地域にある都市です。この都市は遊牧民と定住民の文化的な交差点として知られ、かつてサハラ交易の重要な中心地でした。トンブクトゥとの結びつきも強く、かつては「双子の姉妹」と称されていました。「ジェンネ」という名前はボゾ語で「水の精霊」を意味し、2009年の統計では人口は約3万3千人程度とされています。

地理的特徴

ジェンネはバニ川の支流にあたる川の中洲に位置する島で、88ヘクタールの面積を有し、バニ川沿いには23kmの堤防が築かれています。市内へのアクセスは渡し舟を利用することが一般的で、バマコとモプティを結ぶ幹線道路が近くにあります。また、地域はサヘル気候に属し、年間降水量は400mmから600mmの範囲となっています。

民族構成

ジェンネには様々な民族が居住しており、主にソンガイ人、フラニ族、バンバラ人、ソニンケ族、ボゾ人、ドゴン人、モシ人などのコミュニティが共存しています。この多様性は、地域の文化的な豊かさを象徴しています。

歴史的背景

ジェンネの周辺地域には、紀元前3世紀から人々が居住していたことが考古学的調査によって示されています。特に重要な遺跡としてはジェンネ＝ジェンノがあり、この場所がかつてのジェンネ市であったとされています。

現代のジェンネはボゾ人の手によって9世紀末に設立され、防衛と繁栄を祈願した伝説が残る「タパマ・ディネポ」の物語も有名です。交易の中心地として繁栄したジェンネは、ニジェール川を利用して南北の商人が集まり、様々な物品が取引されていました。特に北方からの商人は宝飾品や岩塩を、南からはコーラナッツ、黄金、象牙などを持参し、商取引を行いました。

1280年にはイスラーム教に改宗したコイ・コウンボロ王が壮麗なモスクを建築し、その後の13世紀にマリ帝国に併合されました。ジェンネは歴史の中で数々の征服を経ながらも、常に重要な商業都市としての地位を保ち続けました。1591年にモロッコに一度取られるものの、1670年にはバンバラ帝国の一部となり、その後も様々な国家の統治下に置かれました。1893年にはフランスに併合され、商業の中心がモプティに移ることで、次第に影響力が減少していきました。

世界遺産登録

1988年、ジェンネの特異な泥造りの建築群はユネスコの世界遺産に登録されました。登録基準は、現存する文化的伝統や建築様式が重要な時代を象徴するものであることです。ジェンネの建物は主に泥で作られ、その壁には木片が組み込まれています。建築デザインには文化的な意味合いが込められており、ファサードは家族を象徴する構造を持っています。

ジェンネの大モスクはこの地のシンボル的存在であり、1280年に建てられたことが起源です。1819年には新たにモスクが建設され、その後も地域社会による保存活動が行われています。モスクは毎年市民によって再塗装され、地域文化の一部として受け継がれています。

結論

現在もなおジェンネは多くの観光客を引き寄せる目的地であり、その文化遺産と市場は訪れる人々に愛されています。特に月曜日に行われる市場は地域の重要な社会的・経済的イベントです。様々な歴史を経たジェンネは、その文化的、商業的役割を今でも果たし続けています。

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