ジェームズ・スミス・ブッシュ

ジェームズ・スミス・ブッシュ：信仰と社会貢献の生涯

ジェームズ・スミス・ブッシュ（1825年6月15日 - 1889年11月11日）は、19世紀アメリカの多岐にわたる分野で活躍した人物です。弁護士、米国聖公会の司祭、そして宗教作家として、その足跡を残しました。特筆すべきは、彼がブッシュ家の一員であり、第41代アメリカ合衆国大統領ジョージ・H・W・ブッシュの曾祖父、そして第43代大統領ジョージ・W・ブッシュの高祖父にあたるという点です。

生い立ちと教育

ジェームズ・スミス・ブッシュは、ニューヨーク州ロチェスターで、オバディア・ブッシュとハリエット・スミスの息子として生まれました。1841年にはイェール大学に入学し、1844年に卒業。このイェール大学への入学は、後のブッシュ家における学歴の伝統の始まりとなりました。彼の孫であるプレスコット・ブッシュ、曾孫のジョージ・H・W・ブッシュ、ウィリアム・H・T・ブッシュ、玄孫のジョージ・W・ブッシュ、そして来孫のバーバラ・ピアース・ブッシュもイェール大学の卒業生です。大学卒業後、ジェームズはロチェスターに戻り法律を学び、1847年に法曹界入りを果たしました。

結婚と聖職への道

1851年、ジェームズはサラトガ・スプリングズ在住のサラ・フリーマンと結婚しましたが、サラは18ヶ月後の出産中に亡くなりました。その後、彼は同地の聖公会教会のRectorのもとで神学を学び、1855年に助祭に叙階され、ニュージャージー州オレンジに新設されたグレイス教会の教区牧師に就任しました。1859年には、サミュエル・ハワードとスーザン・フェイの娘であるハリエット・エレノア・フェイと再婚し、5人の子供をもうけました。

グレース教会牧師時代

1865年から1866年にかけて、教会からサバティカルを与えられたジェームズは、装甲艦モニター艦に乗り、ジョン・ロジャーズと共にマゼラン海峡を通り、サンフランシスコへ向かいました。公式にはロジャーズの秘書としての同行でしたが、彼は「活動的なチャプレン」として船上で様々な活動を行い、モンテビデオで出会ったドイツ系アメリカ人のブレット・ハートのために船上結婚式まで執り行っています。また、艦隊はチンチャ諸島戦争におけるスペイン海軍によるバルパライソ砲撃を目撃しました。

1867年から1872年まで、彼はサンフランシスコのグレース大聖堂に招かれましたが、家族の事情により5年で辞任しました。この時期には、発明家のハニバル・グッドウィンと共にいたことが、マーク・トウェインの週刊コラムで風刺されています。

その後

1872年、ジェームズはウェストブライトンの昇天教会からの招聘を受けました。しかし、1884年には教会のラッフルをめぐる紛争（彼が賭博と見なした金時計の競売）が原因で辞任。1888年には米国聖公会を完全に離れ、ユニテリアン主義に転向しました。晩年は健康を害し、ニューヨーク州イサカに移住後、1889年に落ち葉をかき集めている最中に急逝しました。

著作と神学

ジェームズ・スミス・ブッシュは、神学に関する著作も残しています。1883年には、同僚R. ヒーバー・ニュートンの『Uses of the Bible』に対応して、『More Words About the Bible』を出版。1885年には、『Evidence of Faith』を出版し、The Literary World誌によって「明瞭、簡潔、そして気取らない」と評価されました。これらの著作は、広範な教会運動に位置づけられています。

ジェームズ・スミス・ブッシュは、弁護士、聖職者、作家として、多岐にわたる分野で貢献した人物でした。彼の生涯は、信仰と社会との関わり方について、多くの示唆を与えてくれます。

もう一度検索