ジェームズ・ハリス (第3代マームズベリー伯爵)

第3代マームズベリー伯爵ジェームズ・ハワード・ハリス

第3代マームズベリー伯爵ジェームズ・ハワード・ハリス（1807年3月25日 - 1889年5月17日）は、19世紀イギリスの政治家、貴族です。ヴィクトリア朝時代の保守党政権において、重要な閣僚職を歴任しました。

生涯

1807年、第2代マームズベリー伯爵ジェームズ・ハリスの長男として生まれました。イートン校、オックスフォード大学オリオル・カレッジで教育を受けました。

1841年、ウィルトン選挙区から保守党の庶民院議員に選出されます。同年9月には父の爵位を継承し、貴族院議員となりました。

閣僚としての活躍

1852年、第一次ダービー伯爵内閣で外務大臣として初入閣を果たしました。ハリス家が代々外交官の家系であったこと、そしてダービー伯爵との関係がその背景にありました。当時のイギリスは、フランスのルイ・ナポレオンに対する警戒感から軍拡の機運が高まっていましたが、マームズベリー伯爵は、財務大臣ベンジャミン・ディズレーリとともに、その不安の解消に尽力しました。

しかし、第一次ダービー伯爵内閣崩壊後、ディズレーリが保守党の徹底抗戦路線を決定したことに反対したため、両者の関係に溝が生じました。

1858年、第二次ダービー伯爵内閣でも再び外務大臣を務めました。イタリア統一戦争においては、ヴィクトリア女王やダービー伯爵とともに親オーストリアの立場をとったため、世論や野党の自由主義派との対立を招きました。このことが、自由党結成のきっかけとなり、第二次ダービー伯爵内閣の総辞職につながりました。マームズベリー伯爵は、イタリア問題に関する政府の立場を明確にするため、文書の公開を提案しましたが、ディズレーリに拒否されています。

1866年、第三次ダービー伯爵内閣では、外務大臣の座をスタンリー卿に譲り、自身は王璽尚書として入閣しました。1868年にダービー伯爵が引退すると、ディズレーリが首相となり、マームズベリー伯爵は貴族院院内総務を兼務しました。

第一次ディズレーリ内閣の倒閣後、保守党貴族院院内総務を辞任。1874年の第二次ディズレーリ内閣成立とともに、再び王璽尚書として入閣し、1876年まで務めました。

1889年5月17日、82歳で死去。後継者がいなかったため、甥が爵位を継承しました。

人物評

サウスゲイトは、マームズベリー伯爵を「受動派」の政治家と評しています。これは、19世紀の英国外務大臣を党派ではなく気質で分類したもので、カニング、パーマストン、ラッセルを「活動派」とする対比です。

爵位

1841年：第3代マームズベリー伯爵
1841年：第3代フィッツハリス子爵
1841年：第3代マームズベリー男爵

家族

1830年に第5代タンカーヴィル伯爵の娘、コリザンド・エマ・ベネットと結婚しましたが、子供はいませんでした。

参考文献

ブレイク男爵 著、谷福丸 訳、灘尾弘吉監修 編『ディズレイリ』大蔵省印刷局、1993年。ISBN 978-4172820000。
* 秦郁彦編 編『世界諸国の組織・制度・人事 1840－2000』東京大学出版会、2001年。ISBN 978-4130301220。

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