ジオグラフォス (小惑星)

ジオグラフォス、またはゲオグラフォス（1620 Geographos）は、地球近傍小惑星の中でもアポロ群に属し、火星の軌道を横断する特徴を持つ小惑星です。1951年にアルバート・ウィルソンとルドルフ・ミンコフスキーによってパロマー天文台で発見されました。この小惑星の名前は、ナショナルジオグラフィック協会にちなんで名付けられました。

ジオグラフォスの特徴的な点は、その細長い形状にあります。1994年には、過去2世紀の間で最も地球に接近し、その距離は約500万kmでした。この接近は、天文学者にとって貴重な観測機会となり、アメリカのゴールドストーンにあるディープスペースネットワークの施設を使って、レーダー観測が行われました。その結果、ジオグラフォスは太陽系の中で最も細長い天体の一つであることが判明しました。次にこれほど地球に接近するのは2586年と予測されています。

ジオグラフォスはS型小惑星に分類されます。S型小惑星は、ニッケル、鉄、マグネシウム、ケイ素などの鉱物で構成されており、比較的に高いアルベド（反射率）を持つことが特徴です。これらの組成は、小惑星の形成過程や、太陽系初期の物質の分布に関する重要な情報を提供してくれます。

また、ジオグラフォスは、かつて探査ミッションの対象となったこともあります。アメリカ合衆国が打ち上げた月探査機クレメンタインは、月の探査を終えた後、ジオグラフォスへ向かう計画がありました。しかし、スラスターの誤作動により、この計画は残念ながら中止されることになりました。もし実現していれば、ジオグラフォスに関するより詳細なデータが得られたはずです。

ジオグラフォスは、その細長い形状や組成、そして地球との接近により、天文学者にとって非常に興味深い研究対象です。今後の観測によって、さらに多くのことが解明されることが期待されています。

関連項目

小惑星の一覧 (1001-2000)

外部リンク

1620 Geographos JPL Small-Body Database Browser
Horizons Ephemeris
NASA Asteroid Radar Research - Radar-Detected Asteroids: 1620 Geographos

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