ジオット (探査機)

ジオット探査機の概要

ジオット（Giotto）は、1985年に欧州宇宙機関（ESA）によって打ち上げられた探査機であり、ハレー彗星に最接近したことで知られています。その名は、1343年頃に活躍したイタリアの著名な画家ジョット・ディ・ボンドーネに由来しています。彼は、ハレー彗星の出現を描いたパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂の壁画で有名です。

ジオットの使命

1986年、ハレー彗星の接近に際し、アメリカ、日本、ソ連、そしてESAの各国が共同で探査機による観測プロジェクト「ハレー艦隊」を結成しました。その中で、ESAは特に挑戦的なミッションを企画し、ハレー彗星のコマの内部に突入して彗星核を近距離で撮影するという目標を掲げました。探査機は、核から放出される多くの塵に衝突する恐れがあるため、進行方向には頑丈な装甲板を装備しました。また、映像撮影は本体の外側に取り付けられた鏡を通じて行われました。

打ち上げと重要な日程

• - 1985年7月2日：探査機ジオットは、フランス領ギアナのギアナ宇宙センターからアリアン1ロケットを使用して打ち上げられました。
• - 1986年3月14日：ハレー彗星の核に596キロメートルまで接近し、観測を行いましたが、予想された塵の衝突によってカメラが故障したため映像の送信が中断されました。しかし、最接近時には撮影に成功し、貴重なデータを得ることができました。通信はその後も途切れることがありましたが、探査の意義は大きかったと言えます。観測機器の電源は3月15日02:00（UTC）にオフとなりました。
• - 1990年：ジオットは再起動され、故障したカメラを除く多くの観測装置が正常に機能していました。そして、7月2日に地球へのスイングバイを行います。
• - 1992年7月10日：次にグリッグ・シェレルップ彗星（26P/Grigg-Skjellerup）に約200キロメートルまで接近し、再びデータの観測を実施しました。
• - 1992年7月23日：この際も電源が再びオフとなり、探査機のミッションは終息へ向かいます。
• - 1999年：ジオットは再度地球に近接しましたが、地上からの信号に反応せず、その姿を消しました。

探査機の影響と意義

ジオット探査機のミッションは、ハレー彗星の詳細な観測だけでなく、宇宙探査技術の進展にも寄与しました。その試みは他の宇宙探査においても重要な教訓となり、後の彗星探査計画に影響を与えました。ジオットの成果は、彗星の理解を深める上で欠かせないものであり、今後の探査に対する期待を高めるものでした。

公式情報

ジオットに関する詳細情報は、欧州宇宙機関（ESA）の公式ウェブサイトにて確認することができます。

もう一度検索