ジストニア

ジストニアについて

ジストニア(dystonia)とは、中枢神経系の異常によって引き起こされる不随意の筋収縮や姿勢の異常を指します。この疾患は、特に脳の大脳基底核や視床、小脳、大脳皮質といった部位の活動が異常になることが原因で発症します。ジストニアという名称は、1911年にドイツの医師ヘルマン・オッペンハイムによって初めて提唱され、その後1944年に現在の診断基準に近いものが示されました。

ジストニアの分類

日本神経学会の2018年版ガイドラインでは、ジストニアは「一次性」と「二次性」の分類から外れています。発症原因は遺伝性や後天性、突発性といった側面から分析されます。

発症原因

• - 遺伝性: 遺伝子異常が関連し、指定難病として認定されているものもあります。
• - 後天性: 出産時の脳外傷や感染症、薬物、腫瘍などの様々な要因が影響します。
• - 突発性: 特定の原因が不明な症例です。

症状の現れ方

ジストニアは、症状が現れる部位によって以下のように分類されます。
1. 局所性ジストニア: 一つの部位に留まる場合。
2. 分節性ジストニア: 隣接する二つ以上の部位に影響を及ぼす。
3. 多巣性ジストニア: 隣接しない複数の部位に影響。
4. 全身性ジストニア: 幹部に加え、異なる二つの部位にも症状が出る。
5. 片側性ジストニア: 体の片側に症状が現れる。

診断方法

ジストニアの診断には、患者からの詳しい病歴聴取が必要です。また、抗精神薬の使用歴も重要な情報となり、類似症状を示す他の疾患との鑑別が求められます。一般的に、ウィルソン病や遺伝性の神経変性疾患など、数多くの鑑別疾患が考慮されます。

治療法

ジストニアの治療には幾つかの方法があります。

• - 薬物療法: 抗パーキンソン薬や抗不安薬などが使用されるが、効果が出にくい場合が多い。特にドーパ反応性ジストニアではレボドパが効果的。
• - ボツリヌス療法: 微量のボツリヌストキシンを注射することで筋緊張を和らげる治療法。
• - 神経ブロック: 神経を破壊して不随意運動を減少させる方法。
• - 手術: 場合によっては脳深部刺激術や眼輪筋切断術が選択されることもあります。
• - バクロフェン療法: 持続的に筋弛緩薬を注入する治療法。
• - 鍼灸治療: 一部の症例で有効とされる。

それぞれの治療法にはその適応や効果に個人差があるため、専門医と相談しながら治療方針を決定することが重要です。ジストニアは多様な症状を示し、発症原因も複雑であるため、患者一人ひとりに合ったアプローチが求められます。

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