不随意運動

不随意運動

不随意運動とは、意識や意志に基づかずに発生する運動を指します。これに対し、意志に基づく運動は随意運動と呼ばれます。不随意運動の理解は神経学において重要であり、さまざまな疾患に関連しています。

不随意運動の診察

不随意運動を評価する際には、以下のポイントに注目することが重要です。

発生部位

不随意運動が全身、半身、一肢、もしくは特定の筋肉に出現するかを調べます。例えば、特定の髄節によって支配される筋肉に限局している場合は、その部位の障害が考えられます。

発生タイミング

運動が安静時に出るのか、ストレスがかかる状況（会話や計算中）で出るのか、姿勢を保っているときに生じるのかといった点を観察します。動作中や特定の状況でのみ現れる場合もあります。

発生しない状況

運動がどういった状況で出ないかも重要です。例えば、睡眠中や意図的に止められる場面では出現しないことがあります。

動きのパターン

不随意運動は、規則的か不規則か、速度や大きさ、運動パターンの複雑さによって分類できます。具体的には、律動性の運動は振戦やミオクローヌスと関連し、不規則な運動は舞踏病やジスキネジアが考えられます。

このような診察のため、しばしばビデオ収録が行われ、表面筋電図が用いられます。筋電図の解析により、運動が発生する筋肉の部位や放電の性質が詳細に把握できます。

運動制御の生理学

不随意運動の基盤には、運動制御に関わる神経系の機構があります。主に大脳皮質、大脳基底核、小脳が関与し、これらが相互に情報をやり取りしながら運動を制御しています。特に、AlexanderとCrutcherが提唱した運動ループモデルは、不随意運動の解析において有用です。

大脳皮質

大脳皮質は六層から成り立っており、特に運動に関連する区域が重要です。運動指令は大脳皮質から発せられ、視床や脊髄へと伝達されます。この過程において、隣接する脳の領域との間で情報がやり取りされ、入出力が調整されます。

大脳基底核

大脳基底核は運動の調整において重要な役割を果たします。直接感覚入力は受けず、大脳皮質からの情報を処理して出力を行います。これにより、身体の運動の調整がなされます。特に、黒質と淡蒼球の役割が重視されます。

不随意運動の種類

不随意運動にはいくつかの種別があります。

振戦

振戦はリズミカルな運動であり、安静時や動作時に異なる特徴を示します。安静時の振戦は典型的にはパーキンソン病に関連しています。

ミオクローヌス

ミオクローヌスは突然で速やかな不随意運動で、時にてんかんと混同されることがあります。

ジストニア

筋肉の異常収縮によって引き起こされる運動の混合です。特に、特定の動作時に発動し、周囲の刺激に反応することもあります。

舞踏運動

不規則に出現する動きであり、顔や体幹、肢に見られることがあります。

治療・評価

不随意運動の治療には、主に原因疾患に基づくアプローチが必要です。薬物療法、リハビリテーション、場合によっては手術が考慮されます。特に、薬剤性の不随意運動に関しては、原因薬物の減量や置換が重要です。

不随意運動は神経学の診断において非常に多様であり、理解と分析が求められます。各種の不随意運動のメカニズムの解明とその臨床的評価は、患者の治療とQOLの向上に寄与するものと期待されます。

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