ジビニルベンゼン

ジビニルベンゼンについて

ジビニルベンゼン（Divinylbenzene）は、ベンゼン環に2つのビニル基が結合した化合物です。この物質はDVBやジエテニルベンゼン、ビニルスチレンとも呼ばれ、化学式はC6H4(CH=CH2)2です。ジビニルベンゼンは、スチレンにビニル基がさらに1つ結合した形として理解することもできます。この化合物は、ビニル基の結合位置によって、オルト（o-）、メタ（m-）、パラ（p-）の3種類の位置異性体が存在します。

用途と利用

ジビニルベンゼンはさまざまな用途に利用されています。主に、イオン交換樹脂や合成ゴム、ABS樹脂、MBS樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などのスチレン系樹脂の架橋剤として使用されます。これらの樹脂に添加されることで、物質の特性を向上させる役割を果たします。日本においては、2007年度の化審法に基づくジビニルベンゼンの製造・輸入総量は1,340トンに達しました。

異性体の特性

ジビニルベンゼンには、ビニル基の結合位置に基づいて3つの位置異性体があります。具体的には、1,2-ジビニルベンゼン（o-ジビニルベンゼン）、1,3-ジビニルベンゼン（m-ジビニルベンゼン）、1,4-ジビニルベンゼン（p-ジビニルベンゼン）の3つです。o-ジビニルベンゼンは合成過程でナフタレンに変わりやすい性質を持つため、市販品は通常m体が主体であり、p体とも組み合わされています。また、ジエチルベンゼンの脱水素化によって生成されたものは、エチルビニルベンゼンを含む場合があります。

• - o-ジビニルベンゼン（1,2-ジビニルベンゼン）: CAS登録番号 91-14-5
• - m-ジビニルベンゼン（1,3-ジビニルベンゼン）: CAS登録番号 108-57-6
• - p-ジビニルベンゼン（1,4-ジビニルベンゼン）: CAS登録番号 105-06-6

安全性について

ジビニルベンゼンは、日本の消防法によって危険物第4類・第二石油類に分類されており、取り扱いには慎重さが求められます。加熱や光、過酸化物などの重合開始剤との接触によって重合反応が発生するおそれがあります。さらに、76℃以上になると、ジビニルベンゼンの蒸気と空気が反応し、爆発性の混合気体を形成する可能性があります。

この物質は、呼吸器や目に刺激を与える性質があり、繰り返し曝露することで肝臓や腎臓、胸腺に悪影響を及ぼすことがあります。加えて、水中での分解が難しく、水生生物に対する毒性も指摘されています。したがって、ジビニルベンゼンを扱う際には十分な安全対策が必要です。

まとめ

ジビニルベンゼンは多用途にわたる重要な有機化合物であり、様々な産業で大きな役割を果たしています。その特性を理解し、安全に取り扱うことが非常に重要です。

もう一度検索