ジャイアントロボ バベルの籠城

ジャイアントロボ バベルの籠城

『ジャイアントロボ バベルの籠城』は、漫画家・戸田泰成が手掛けた日本の漫画作品です。横山光輝が原作、今川泰宏が脚本を担当し、『チャンピオンRED』（秋田書店）にて、2011年5月号に先行読み切り「新章 prologue」が掲載された後、同年6月号から2014年5月号にかけて連載されました。

本作は、同誌で連載されていた漫画版『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日』の直接的な続編にあたります。物語の舞台は前作の終結から十年後の世界へと移り、主要な登場人物や背景設定は大きく変更され、多数の新キャラクターが登場する予定でした。

しかし、物語は序盤からかつてのキャラクターたちが登場し、十年前の最終決戦「バベルの籠城」の地で繰り広げられる新たな戦いが中心に描かれていきます。残念ながら、本作は多くの伏線を残したまま未完で連載を終えました。物語の根幹に関わる謎は最後まで解明されず、単行本化にあたっての加筆も限定的なものに留まっています。

あらすじ

前作で描かれた国際警察連合（梁山泊）とBF団の激闘、通称「バベルの籠城」。互いに壊滅的な打撃を受けたとされるこの最終決戦から、十年という歳月が経過しました。平和を取り戻したかのように見える世界で、国際警察連合の数少ない生存者である銀鈴と鉄牛は輸送任務についていました。そこへ突如、多数のBF団製ロボットを従えた謎の少年が出現し、彼らに襲撃を仕掛けます。

その少年の正体は、十年前の戦いで消息を絶ち、死亡したと思われていた梁山泊の頭領、草間大作でした。大作の行動目的は、国際警察連合が秘密裏に回収・保管していたジャイアントロボを奪還することでした。何故大作は生き延びたのか、なぜ十年経っても少年の姿のままなのか、そしてなぜかつての敵であるBF団と手を組んでいるのか。これらの不可解な謎を冒頭から提示し、物語は前作から一変した新たな『ジャイアントロボ』の最終章として幕を開けます。

主要登場人物

草間大作: 十年前の「バベルの籠城」後に行方不明となるも、少年の姿のまま突如現れた梁山泊頭領。ジャイアントロボを取り戻すため行動します。かつてと異なり、飛来する銃弾の軌道を逸らしたり、爆発の衝撃を無効化したりする超能力を見せます。最終回ではジャイアントロボと共に世界を滅ぼす危険性を示唆されましたが、その具体的な危険性は描かれませんでした。

梁山泊の残党: 「籠城戦」に参加しなかった、あるいは生き残った者たち。
銀鈴: チャイナ服の黒髪美少女。当初大作と行動を共にしますが、最終回でその正体が前作に登場した魔法使いサリーであることが判明します。十年間で失われた記憶を取り戻し、大作と決別した状態でした。
鉄牛: 二丁の斧を操る大男。銀鈴と共に大作と行動しますが、最終回で彼もまた十傑衆の一人、衝撃のアルベルトであったことが明かされます。記憶を取り戻した娘のサリー（銀鈴）と共に、大作の存在を危険視し排除しようとします。
秦明: 元九大天王。バベルの塔を半壊させ、十傑衆三人を倒すほどの驚異的な力を持つ猛者ですが、その力を制御できず、黄信と花栄という二人のエキスパート指南役として自らを分けています。どちらかの命が尽きると再び合体し、秦明としての姿を取り戻します。
その他、黄信、花栄をはじめ、韓信元帥、静かなる中条、影丸、ディック牧、神行太保戴宗、あばれ天童、大塚署長、九紋竜史進といった、前作にも登場した梁山泊の面々も登場します。

BF団: ビッグ・ファイアを頂点とする組織。
ビッグ・ファイア: BF団の絶対的リーダー。神にも等しい存在として崇められ、「バベルの籠城」時には「草間大作を守れ」という指令を下しました。
諸葛孔明: BF団の知略を司る軍師。策略家であり、十傑衆とは反目することもありますが、ビッグ・ファイアへの忠誠心は揺るぎません。GR計画の中心人物でもあります。
十傑衆: ビッグ・ファイアの命令を忠実に遂行し、大作の保護にあたる幹部集団。自らの命と引き換えにする大技を持っています。「バベルの籠城」迎撃側の中核を担いました。
素晴らしきヒィッツカラルド: 白いスーツに身を包んだ、指弾であらゆるものを切断する能力を持つ男。作中で最初に登場した十傑衆の一人として、大作と行動を共にします。
混世魔王・樊瑞: 十傑衆のリーダー格。無数の銅銭を自在に操り、攻防に転じます。バベルの塔崩壊後、ライセ一党から大作を守るため、十年もの間不眠不休で結界を張り続けました。力尽きた後、ライセ一党の攻撃から大作を逃がすために全身に矢を受け死亡します。
直系の怒鬼: ビッグ・ファイアの直系とされ、千変万化の武術を使いこなします。
コ・エンシャク: 二本の鞭を持つ鎧武者。個人名ではなく複数の個体が存在するようです。「バベルの籠城」において樊瑞や孔明と共に梁山泊を迎え撃ちました。

ライセ一党: 国際警察連合ともBF団とも異なる第三勢力。
黄帝ライセ: 本作におけるライセ一党のリーダー。ビッグ・ファイアによって封印されていましたが、前作の最終決戦時に復活しました。バベルの塔を拠点とし、自身を封印する力を持つ大作の命を狙います。
呂布: 虎牢関に封印されていた過去の猛者。ライセによって解放され、大作を守る現十傑衆と激突します。かつて先代の九大天王や十傑衆と死闘を繰り広げ、多くの英雄をその体内に封じ込め力の源としていました。
三獄死: 太古の英雄たちで、呂布に力を吸収され体内に封じ込められていましたが、呂布の死によって解放されました。
劉備: 三獄死のリーダー。ライセには敵わないと見るやその配下となります。仲間が倒されていく中でライセに見限られ殺されますが、瀕死の関羽と張飛から生命エネルギーを与えられ一時的に復活、自身の生き血を大作に飲ませ毒を解毒しました。
馬超: 血を使い分身を作り出す能力を持ち、大作を追い詰めますが、カワラザキと天童の捨て身の攻撃により倒されます。
黄忠: 梁山泊のエキスパート養成所を襲撃し花栄や黄信と激突。死の間際に放った特殊な毒が大作を蝕みますが、劉備の生き血で解毒されました。
趙雲: 口からあらゆるものを吸い込む能力を持ち、幽鬼と対決。ヒィッツカラルドのエネルギーを吸収し重傷を負わせるも、幽鬼の命がけの技で死亡します。
関羽: バベルの塔で十傑衆の赤影と九大天王の影丸という二人の忍者と戦いますが、その忍術に翻弄され死亡します。
張飛: 劉備・関羽の義弟。凄まじい力を持つものの、見せ場らしい見せ場なく怒鬼に敗れました。

登場メカ・キーワード

ジャイアントロボ: 梁山泊頭領・草間大作が父親から託された巨大ロボット。腕部の装甲を展開し、そこから発する光球でエネルギーを吸収し兵器を無力化する「アンチ・エネルギーシステム」を搭載しています。

バベルの籠城: 物語の十年前に起きた、国際警察連合がBF団の本拠である「バベルの塔」に総力を挙げて仕掛けた最終決戦。梁山泊の要塞ごとBF団を攻撃する「背水の陣」であり、迎え撃つBF団はコ・エンシャク、混世魔王樊瑞、諸葛孔明らが中心でした。参加者は双方ともほぼ全滅したと伝えられ、梁山泊頭領の草間大作もこの戦いで消息を絶ちましたが、この結果世界は「燃え尽きる」ことなく平和が続いたとも言われています。戦いの真相は多くの関係者が死亡したこともあり、明らかにはされていません。

* GR計画: BF団の軍師・諸葛孔明が推進する計画。その存在は前作から示唆されており、謎に包まれています。

書誌情報

単行本は秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉より、全6巻が刊行されています。

1. 2011年12月19日発売
2. 2012年5月18日発売
3. 2012年11月20日発売
4. 2013年4月19日発売
5. 2013年11月20日発売
6. 2014年5月20日発売

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