パルヴェーズ・ムシャラフ

パルヴェーズ・ムシャラフ：激動のパキスタンを駆け抜けた軍人政治家

パルヴェーズ・ムシャラフ（1943年8月11日 - 2023年2月5日）は、パキスタンの激動の現代史を象徴する人物です。軍人として頭角を現し、クーデターによって政権を掌握、大統領としてパキスタンを率いました。その政治手腕は国内外で評価が分かれ、賛否両論を巻き起こしました。

生涯

ムシャラフは、イギリス領インドのデリーで生まれました。インド・パキスタン分離独立後、一家はパキスタンのカラチに移住。幼少期は外交官の父親の赴任に伴いトルコで過ごしました。軍人としてのキャリアを歩み始め、1961年にパキスタン陸軍士官学校に入学。1965年と1971年の印パ戦争に従軍し、その能力を発揮しました。1998年には陸軍参謀総長に任命され、軍のトップに上り詰めました。

クーデターと大統領就任

1999年、ムシャラフは当時のナワーズ・シャリーフ首相との対立から無血クーデターを敢行。行政長官としてパキスタンの最高権力者となりました。2001年には大統領に就任し、2008年までその地位にありました。

ムシャラフ政権は、親米路線をとり、アメリカ合衆国との関係を強化しました。また、経済の自由化政策を推進し、パキスタンの近代化を目指しました。しかし、国内には、ムシャラフの親米政策や強権的な政治手法に対する反発も根強くありました。

亡命と裁判

2007年、ムシャラフは大統領選挙での不正疑惑や、最高裁判所長官の解任などをめぐり、国民の反発を招きました。2008年には、弾劾の動きを受け辞任。その後、イギリスやドバイで事実上の亡命生活を送りました。

2013年に帰国したムシャラフでしたが、2007年の憲法停止を巡り国家反逆罪に問われました。2019年には死刑判決が下されましたが、裁判手続きの違法性を理由に高等裁判所が判決を破棄、裁判のやり直しを命じました。

死去

2023年2月5日、ムシャラフはドバイの病院で死去しました。79歳でした。晩年は難病のアミロイドーシスを患い、闘病生活を送っていました。

評価

ムシャラフに対する評価は、パキスタン国内外で大きく分かれています。経済改革を推進し、パキスタンの近代化に貢献したとする評価がある一方で、クーデターで政権を奪取し、強権的な政治を行ったとして批判する声も存在します。

また、親米路線をとり、アメリカ合衆国との関係を強化したことについても、賛否両論があります。パキスタン国内には、アメリカ合衆国に対する不信感が根強く、ムシャラフの親米政策に対する反発も少なくありませんでした。

ムシャラフは、パキスタンの政治史において、重要な役割を果たした人物であることは間違いありません。その功績と過ちは、今後のパキスタンを考える上で、重要な教訓となるでしょう。

ムシャラフ語録

「私はパキスタンを近代化し、国民の生活を豊かにしたい。」
「テロとの戦いは、わが国の未来をかけた戦いだ。」
「私は、常に国民の意思を尊重する。」

参考文献

Wikipedia: パルヴェーズ・ムシャラフ
* コトバンク

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