ジャカルタ事件

ジャカルタ事件

ジャカルタ事件とは、1986年5月14日にインドネシアのジャカルタで起こった重大なテロ事件です。この事件は、アメリカ大使館と日本大使館を標的にしたロケット弾攻撃や、カナダ大使館前での車爆破などを含んでいます。事件の背後には、反帝国主義を掲げる国際的なテロ組織が関与しており、その後の捜査によって、日本赤軍のメンバーが明らかになりました。

事件の経緯

事件当日、ジャカルタのアメリカ大使館、日本大使館に対してロケット弾が発射され、さらにカナダ大使館前に駐車中の車が爆破されました。不安が広がる中、東京、ロンドン、パリ、ローマなどのメディアに対して、「反帝国主義国際旅団」を名乗るグループからの犯行声明が届きました。この声明は、事件の計画と目的を明確にするものであり、国際的なテロの脅威についての関心を呼ぶ結果となりました。

捜査と逮捕

捜査の結果、事件の発射元とされたホテルの一室から、日本赤軍のメンバーである城崎勉の指紋が見つかりました。日米の捜査当局は、これを根拠に日本赤軍がこの事件に関与していると判断しました。城崎はその後、1996年にネパールで拘束され、アメリカへと移送されました。1998年2月に行われたアメリカの裁判では、彼に懲役30年の判決が下され、この判決は国際的なテロ行為に対して厳しい姿勢を示すものでした。

日本への帰国と裁判

2015年1月に刑期短縮を受けた城崎は、ミシシッピ州の刑務所から出所しましたが、日本からの国際手配中であったため、移民税関捜査局に引き渡されました。その後、強制的に日本へと送還されました。日本に戻った城崎は、すぐに逮捕され、殺人未遂と現住建造物等放火未遂の容疑がかけられました。

裁判の展開

2016年には東京地裁で裁判員裁判が開かれることになりました。これは、裁判員制度が導入された後、最も発生時期が古い事件として注目を集めました。弁護側は、事件当時はレバノンにいたと主張し、ホテルで発見された指紋は捜査機関の捏造であるとする無罪を訴えました。しかし、裁判所は上記の主張を退け、城崎の重要な役割があったと認定し、懲役12年の判決を言い渡しました。弁護側は判決に不満を持ち、控訴を行いましたが、2018年には東京高裁が一審判決を支持し、控訴は棄却されました。

このジャカルタ事件は、テロリズムとその対策について国際的な議論を呼び、また、日本赤軍に対する警戒心を再確認させることとなりました。

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