ジャック・ドニス・ショアジー

ジャック・ドニス・ショアジー（Jacques Denys (Denis) Choisy）は、1799年4月5日に生まれ、1859年11月26日に生涯を閉じた、19世紀スイスの傑出した人物です。彼はプロテスタント教会の牧師であると同時に、重要な植物学者としても知られています。

略歴

ジュネーヴ州のジュシーで生を受けたショアジーは、多岐にわたる分野で才能を発揮しました。彼はジュネーヴの大学（当時のアカデミー・ド・ジュネーヴ）において、神学、法学、人文科学、そして自然科学といった広範な学問領域を修めました。1821年には聖職者としての叙階を受け、牧師となります。翌年にはパリに渡り、学問を深めるとともに、当地の自然史協会の会員資格を得ました。1824年には故郷ジュネーヴに戻り、母校である大学の自然哲学講座の教授に就任。この地位を1847年まで、四半世紀近くにわたり務めました。

植物学における貢献

ショアジーの学術的活動の中で特筆すべきは、植物学における貢献です。学生時代から既に、植物学の巨匠と称されるオーギュスタン・ピラミュ・ドゥ・カンドールから大きな影響を受けていました。ドゥ・カンドールの生涯をかけた大事業であり、当時の植物分類学の集大成ともいえる世界的植物誌『植物界自然分類体系概説（Prodromus Systematis Naturalis Regni Vegetabilis）』において、ショアジーは中心的な執筆者の一人として迎えられました。彼はこの壮大な著作の中で、特に多くの植物科にわたる詳細な記述を担当し、植物学の進歩に大きく貢献しました。

他分野での活動

ショアジーは植物学だけでなく、神学や哲学の分野でもその知性を発揮しました。彼は理性的哲学における排他的教義について論じた『Des doctrines exclusives en philosophie rationelle』（1828年）や、道徳哲学の講義断片をまとめた『Les lois morales: Fragment d'un cours de philosophie morale』（1836年）といった重要な著作を残しており、彼の幅広い学術的関心と深い洞察を示しています。

献名

彼の植物学における長年の功績と貢献を称え、ミカン科に属する植物の一つの属名が「Choisya（チョイシア属）」と命名されました。これは、後世の研究者たちが彼に敬意を表した証であり、植物学史における彼の位置づけを示すものです。

主要著作

以下に、ショアジーの主要な著作の一部を挙げます。

『Prodromus d'une monographie de la famille des hypéricinées』 (1821年以降、オトギリソウ科に関するモノグラフの序論)
『Descriptions des Hydroléacées』 (1830年、ヒドロレア科の記述)
『Convolvulaceae orientales』 (1834年、東洋のヒルガオ科植物)
『Mémoire sur les familles des Ternstroemiacées et Camelliacées』 (1854年、テリハボク科およびツバキ科に関する論文)

ジャック・ドニス・ショアジーは、牧師としての活動と並行して、植物学者、哲学者としても精力的に活動した多才な人物であり、特にドゥ・カンドールの植物誌への貢献は、彼の名を植物学史に深く刻んでいます。

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