ジャック3世 (キプロス王)

ジャック3世（Jacques III de Chypre）は、1473年8月28日に誕生し、1474年8月26日にこの世を去ったキプロス王です。彼は名目上のエルサレム王、そしてキリキア・アルメニア王でもありました。父王ジャック2世の死後、母后カタリーナ・コルナーロとの間に生まれた遺児であったため、「遺腹のジャック（Jacques le posthume）」とも呼ばれました。

ジャック3世は、父王の死後すぐにキプロス王位を継承しました。しかし、その治世は非常に短く、わずか1年で終わりました。彼の誕生は、キプロス王室にとって大きな希望でありましたが、その希望はすぐに打ち砕かれることとなります。

1474年8月26日、ジャック3世は不可解な状況下で急逝しました。父王ジャック2世と同様の謎めいた死は、多くの憶測を呼びました。彼の死は、キプロス王家の血筋を途絶えさせ、キプロス島の政治情勢に大きな変化をもたらすことになりました。遺体は、ファマグスタの聖ニコラオス大聖堂（現在のラーラ・ムスタファ・パシャ・モスク）に埋葬されました。聖堂は、かつてキプロス王国の歴史を見守ってきた場所であり、ジャック3世の短い生涯を静かに物語っています。

ジャック3世の死後、摂政を務めていた母カタリーナ・コルナーロがキプロス女王として王位を継承しました。しかし、彼女の治世は長くは続きませんでした。ジャック3世の死によりキプロス王家の男系血筋は絶たれ、その結果として、ヴェネツィア共和国によるキプロス島支配がより強固なものとなっていきました。

ジャック3世の短い生涯は、キプロス王国の歴史において、大きな転換点となりました。彼の誕生と死は、キプロスが独立を失い、ヴェネツィア共和国の支配下に入る過程の象徴的な出来事でした。ジャック3世の生涯は、キプロス王国の栄光と悲劇、そして儚さを物語るものとして、歴史に刻まれています。

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