ジャニーヌ・バザン

ジャニーヌ・バザンの生涯と映画への貢献

ジャニーヌ・バザン（旧姓キルシュ）は、1923年1月29日にフランス・パリで生まれました。彼女は映画プロデューサーとして、またヌーヴェルヴァーグの精神的指導者であったアンドレ・バザンの妻として、映画史にその名を刻んでいます。

アンドレ・バザンとの出会いと結婚

リベラシオンの時期、「労働と文化」で秘書として働いていたジャニーヌは、そこでアンドレ・バザンと出会い、結婚しました。この出会いは、彼女の人生と映画への関わりに大きな影響を与えました。

フランソワ・トリュフォーとの交流

1940年代後半、ジャニーヌはシネクラブを組織していた少年フランソワ・トリュフォーと出会います。トリュフォーが少年鑑別所に入れられた際には、彼を引き取り、1957年の結婚まで約8年間、家族同然の生活を送りました。この時期、トリュフォーは映画への情熱を深め、後のヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督へと成長していきます。

夫の死とテレビドキュメンタリーへの挑戦

1958年、夫アンドレ・バザンが急逝します。その日は、トリュフォーの長編デビュー作『大人は判ってくれない』の撮影開始日でした。夫の死後、ジャニーヌはアンドレ・S・ラバルトとともに、テレビドキュメンタリーシリーズ『われらの時代のシネアストたち』の制作を開始し、1972年までに全53本をプロデュースしました。

映画祭アントル・ヴュの創設

1984年にトリュフォーが亡くなった後、ジャニーヌは1986年に、デビュー作から3作品目までの映画を集めた映画祭「アントル・ヴュ」を創設しました。この映画祭は、若手監督の才能を発掘し、彼らのキャリアを支援することを目指しています。

ライフワークとしてのテレビドキュメンタリー

1988年、アンドレ・バザン没後30年を機に、ジャニーヌはラバルトとともに、新たなテレビドキュメンタリーシリーズ『映画、われらの時代の』の制作を開始しました。このシリーズは、彼女のライフワークとなり、2003年までに35本が制作されました。

ジャニーヌ・バザンの晩年と遺産

ジャニーヌ・バザンは、2003年5月31日にパリ郊外の病院で亡くなりました。彼女の死後も、『映画、われらの時代の』はラバルトによって制作が続けられています。また、息子フローランは映画界で撮影助手として活躍しています。「アントル・ヴュ」では、「ジャニーヌ・バザン賞」が設けられ、彼女の功績を称えています。

ジャニーヌ・バザンは、映画プロデューサーとしてだけでなく、映画を愛し、若い才能を育てることに情熱を注いだ人物でした。彼女の活動は、フランス映画界に大きな足跡を残し、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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