シネクラブ

シネクラブとは

シネクラブ（仏語: ciné-club、英語: film society）は、特定の関心やテーマに基づいて映画フィルムを上映する活動のことです。一般的な映画館での上映とは異なり、より文化的な視点や、特定の映画監督、俳優、あるいは撮影技術などに焦点を当てた上映が行われるのが特徴です。

シネクラブの特徴

シネクラブは、以下のような特徴を持っています。

上映作品の選定: 一般的な映画館では上映されないような、過去の名作や実験的な作品、特定の監督や俳優に焦点を当てた作品などが上映されます。また、テーマ性を持たせた上映プログラムが組まれることもあります。
上映後の議論: 上映後には、参加者同士で映画について語り合う時間や、上映作品の解説、または上映プログラムの作成者との質疑応答などが設けられることがあります。これにより、映画への理解を深めることができます。
オリジナル版での上映: 時には、通常は吹き替え版や字幕版でしか見られない作品を、オリジナル版で上映することがあります。
シネフィルの活動: シネクラブは、映画を愛する人々（シネフィル）によって組織されることが多く、映画を通じた交流の場としての役割も担っています。

シネクラブの歴史

シネクラブ運動は、フランスで特に活発に行われてきました。戦前から、アンリ・ラングロアとジョルジュ・フランジュが「セルクル・デュ・シネマ」を組織し、これが後に「シネマテーク・フランセーズ」へと発展しました。また、戦後には、アンドレ・バザンやアレクサンドル・アストリュックらが「オブジェクティフ49」を組織し、ヌーヴェルヴァーグの誕生に大きな影響を与えました。エリック・ロメールが組織した「シネクラブ・デュ・カルチェ・ラタン」も有名です。

日本におけるシネクラブ運動

日本でも、1960年代からシネクラブ運動が始まりました。1966年には、川喜多和子らによって「シネクラブ研究会」が結成されました。1968年には、同クラブが鈴木清順監督の全作品上映を企画した際、日活が鈴木監督を解雇したことをきっかけに、「鈴木清順問題共闘会議」が発足しました。また、1967年には、杉並区で「杉並シネクラブ」が結成され、定期上映会や会誌の発行などを行いましたが、1972年に解散しました。

現在でも、アテネ・フランセ文化センターや東京日仏学院などでシネクラブ運動が続けられています。また、全国各地に数多くのシネクラブ組織が存在し、それぞれが独自の活動を展開しています。

シネクラブの意義

シネクラブは、単に映画を鑑賞するだけでなく、映画を通じて人々が交流し、映画文化を豊かにする役割を担っています。また、映画史における重要な作品や、芸術性の高い作品に触れる機会を提供することで、映画への理解を深めるだけでなく、新たな映画の可能性を発見する場となっています。

関連項目

Art et Essai
作家主義（Cinéma d'auteur）

外部リンク

* Ciné-club éducatif et culturel asbl: ベルギーで活動する歴史あるシネクラブの例

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