ジャンボーX

幻のヒーロー『ジャンボーX』：企画段階の『ジャンボーグA』

『ジャンボーX』は、1973年に円谷プロダクションが制作した特撮テレビドラマ『ジャンボーグA』の企画段階の作品名です。実現には至りませんでしたが、漫画家中城けんたろうによってコミカライズされ、1970年に小学館の学年誌で連載されました。

学年誌での連載

『ジャンボーX』の漫画は、小学館の学年誌『小学一年生』で1970年4月号から11月号まで、8ヶ月にわたって連載されました。しかし、同年12月号から突如としてタイトルと内容が『ジャンボーグA』に変更され、翌1971年3月号まで連載が継続されました。

中城けんたろうは、『ジャンボーX』の連載に先立ち、同じく「小学一年生」誌上で、1969年9月号から1970年4月号まで、円谷プロの企画による『ミラーマン』を、テレビ放映作品とは異なるデザインで連載していました。興味深いことに、『ミラーマン』も『ジャンボーX』も、誌上連載からテレビ放送開始まで約3年の期間を要しています。

ユニークな設定

『ジャンボーX』の主人公である少年・まもるくんは、「ウルトラセブンの弟」という設定でした。ただし、この設定は、1971年4月に放映開始された『帰ってきたウルトラマン』を連載していた小学館「小学二年生」編集部によって初めて掲載され、後に本家円谷プロでも採用された「ウルトラ兄弟」の設定とは直接的な連続性はないと考えられます。そのため、ジャンボーXはウルトラセブンと同様に宇宙人であると推測されます。

企画が『ジャンボーグA』へと変更された際、設定も操縦式の巨大ロボットへと変更されました。

連載第1話の内容

連載第1回の見開きには、放送終了後も高い人気を誇っていたウルトラセブンの勇姿が描かれています。主人公のまもるくんは、豪華客船の舳先に立っていますが、突如として海獣ゲスラ（テレビシリーズ『ウルトラマン』第6話に登場）に襲われ、無人島に漂着します。そこで、同じく『ウルトラマン』に登場した怪獣ピグモンに助けられます。

その後、島に上陸したゲスラを、飛来したウルトラセブンが退治し、まもるくんを背中に乗せて飛び去っていくというストーリーです。第1話には、変身後のジャンボーXは登場しません。

特徴的なデザイン

ジャンボーXのデザインは、頭部にウルトラセブンと同様のクレスト（とさか）があり、ジャングラーと呼ばれています。これは、アルファベットの「J」を横に倒したような形状をしています。また、セブンのアイスラッガーのように、ブーメランのように飛ばす描写があります（対ジャミラ戦）。目は半月型のサングラスのような形状で、カットによっては鼻筋の逆三角形部分と一体化しているものもあります。

赤と銀を基調としたウルトラマンやウルトラセブンとは異なり、白（または銀）をベースに、赤、青（または水色）、黒、緑、黄色（金）、肌色などで全身を彩る、カラフルな容姿をしています。このデザインは、後の平成シリーズの、赤と青の両色を持つ新しいウルトラマンのデザインを25年も先取りしていたと言えるでしょう。

また、その名が示すように、顔面、胸部、ベルトバックル部、大腿部など各所に、アルファベットの「X」の意匠が取り入れられています。

ただし、小学校低学年向けの雑誌連載用作画に留まり、テレビ放送に至らなかったため、連載中、カラーリングや形状など、細部のデザイン設定は一定していませんでした。

関連商品

テレビ放送が始まる前の企画段階で漫画が連載された『ミラーマン』と同様に、玩具メーカーのブルマァクによって、複数サイズのジャンボーXのソフトビニール玩具が発売されました。同社から発売されたウルトラシリーズの怪獣ソフビシリーズの商品チラシには、商品化されたジャンボーX人形の写真が確認できます。

『ジャンボーX』は、短命に終わった企画ではありますが、そのユニークな設定やデザインは、後の特撮作品に少なからず影響を与えたと言えるでしょう。

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