ジャン・コルペ

ジャン・コルペの生涯と業績

ジャン・コルペ（Jean Corpet、1884年5月18日 - 1970年）は、フランスの実業家として知られ、彼の冒険的な旅行と写真の数々で名を馳せました。彼は、1908年にシベリア鉄道を経由し、極東アジアへの壮大な旅を敢行しました。この旅行中に撮影した数多くのステレオ写真は、後にギメ東洋美術館に展示され、20世紀初頭の東アジアの産業の貴重な記録となっています。

生い立ちと背景

ジャン・コルペは、パリで蒸気機関車製造会社コルペ＝ルーヴェを経営する一族に生まれました。父ジュリアン・コルペ（Lucien Corpet）は、その企業を創立し、息子ジャンは彼の2番目の妻ファニーとの間に生まれました。残念ながら、ジャンが幼い頃に父は亡くなり、家業は未亡人となった母とその娘婿によって継承されることになりました。ジャンは将来の経営者としての期待を背負い、エコール・ポリテクニークで学び卒業しました。

極東旅行と写真の記録

家業を継ぐ前に、ジャン・コルペは母から資金を得て1909年に極東への大旅行に踏み切ります。彼はモスクワを経由してシベリア鉄道を利用し、日本にたどり着きました。敦賀港に到着したのは6月30日で、その後は関東周辺の観光地を巡るなど、多彩な体験をしました。特に東京では、フランス大使館や、日本の高官と交流する機会を得るなど、その経験から多くを学んだことでしょう。

京都や四阪島、長崎、三池炭坑、八幡製鉄所なども訪れ、8月12日に韓国の釜山へと渡ります。この旅の合間に、彼は合計134枚の写真を撮影し、旅の全行程では936点もの写真を残しました。これらの写真は、極東における産業の発展や、当時の社会の様子を記録した貴重な資料と見なされています。

その後の人生

ジャン・コルペは旅行から帰国後、コルペ＝ルーヴェ社の経営を引き継ぎました。また、1917年には妻マドレーヌと結婚し、8人の子どもをもうけました。子どもたちの中には、フランソワ・コルペという息子がいて、彼は父の旅行に関する資料を編集し、2007年に私家版としてまとめました。さらに、2013年にはこれらの写真のガラス乾板をギメ東洋美術館に寄贈しました。

結論

ジャン・コルペは彼の時代における重要な実業家であり、彼の旅行とその記録は、歴史的な価値を持つものとなっています。彼が残した写真は、ただの観光の記録を超え、当時の産業発展や文化についての深い洞察を与えてくれます。

もう一度検索