ジュスク

ジュスク（種索）：モンゴル帝国に仕えた左翼千人隊長

ジュスク（生没年不詳）は、モンゴル帝国に仕えたジャジラト部出身の人物です。モンゴル語ではǰüsüg、漢語では種索と表記されます。

概要

『元朝秘史』によると、ジュスクはチンギス・カンがジャムカと決別した頃に帰参しました。1206年には千人隊長に任ぜられます。『元朝秘史』ではテムゲ・オッチギンの王傅、『集史』では中軍左翼に所属していたとされ、記述に矛盾が見られます。

『集史』には「クシャウルとジュスクの兄弟」とありますが、村上正二は「クシャウル」を称号であるとしています。ジュスクは兄のクシャウルとともに諸族混成の3千人隊を率いていました。

チンギス・カンの金朝遠征に従軍し、帰還後もムカリに従って金朝領に駐屯しました。『集史』には、ジュスクらがヒタイ（契丹）とジュルチャ（女真）の地を征服する際、その功績によりモンゴル人から選抜された3千人を率いて辺境守備を任されたと記されています。

この「モンゴル兵と現地徴発兵の混成軍」であり「占領地に駐屯する」という形態は、後のオゴデイによって制度化されたタンマチ（タマ軍）と共通する特徴です。このことから、クシャウル・ジュスクの3千人隊は、タンマチの原型になったと考えられています。

参考文献

川本正知『モンゴル帝国の軍隊と戦争』山川出版社、2013年
志茂碩敏『モンゴル帝国史研究 正篇』東京大学出版会、2013年
* 村上正二訳注『モンゴル秘史 2巻』平凡社、1972年

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