ジュゼッペ・デ・マーヨ

ジュゼッペ・デ・マーヨ

生涯

ジュゼッペ・デ・マーヨ（Giuseppe de Majo, 1697年12月5日 - 1771年11月18日）は、バロック後期から古典派初期にかけて、南イタリアの音楽の中心地として知られるナポリで活動した傑出したイタリアの作曲家です。

彼は1697年にナポリに生まれました。幼い頃から音楽の才能を示し、1706年にはナポリの著名な音楽教育機関の一つ、ピエタ・デイ・トゥルキーニ音楽院に入学しました。この音楽院は、当時のナポリ楽派を牽引する多くの音楽家を輩出しており、デ・マーヨもここで高度な音楽教育を受けました。彼は特に、当時の傑出した教育者であり作曲家でもあったニコラ・ファーゴをはじめとする師事のもと、作曲や対位法、演奏技術などを学びました。12年間にわたる研鑽を積み、1718年に同音楽院を優秀な成績で卒業しました。

学業を終えた後、彼は作曲家としての道を歩み始めました。特に劇場音楽において才能を示し、1725年にはナポリのフィオレンティーノ劇場でオペラ作曲家として華々しいデビューを飾りました。彼のオペラは聴衆から好評を博し、劇場での地位を確立していきました。

彼の才能は次第に認められ、宮廷音楽の世界へと進出します。1736年にはナポリ王国の王室礼拝堂のオルガニストという重要な職務に任命されました。この職は、宮廷で行われる宗教儀式や祝典における音楽を担当するものであり、高い演奏能力と作曲能力が求められました。さらにそのわずか一年後、1737年には副楽長の地位へと昇進を果たし、宮廷音楽における中心的な役割を担うようになりました。

1744年、ナポリ楽派を代表する巨匠であり、宮廷楽長を務めていたレオナルド・レーオが世を去ると、その後任の座を巡る競争が巻き起こりました。フランチェスコ・ドゥランテやニコラ・ポルポラといった当時のイタリア音楽界の重鎮たちが候補に挙がる中、デ・マーヨはマリーア・アマーリア王妃からの絶大な支持を得ることに成功しました。この強力な後ろ盾を力に、彼は難航した競争を見事に勝ち抜き、同年にナポリ王国の宮廷楽長という、ナポリにおける最も権威ある音楽的地位に就任しました。この地位は、作曲活動だけでなく、宮廷楽団の運営や音楽教育の監督など、多岐にわたる責任を伴うものでした。彼はこの地位を終生務め上げ、1771年にナポリでその生涯を閉じました。

家族

ジュゼッペ・デ・マーヨの音楽の血筋は息子にも受け継がれました。彼の息子、ジャン・フランチェスコ・デ・マーヨ（Gian Francesco de Majo, 1732-1770）もまた、父と同様に才能ある作曲家として活躍しました。

作品

作曲家として、彼は多岐にわたる分野で才能を発揮しました。特にオペラにおいては、少なくとも10作品を手がけ、劇場で喝采を浴びました。彼のオペラは、当時の聴衆の好みに合った旋律美や劇的な表現に富んでいました。また、ナポリ王国の宮廷楽長という立場上、宗教音楽も多数作曲しており、王室礼拝堂での儀式に欠かせない存在でした。ミサ曲やオラトリオなど、荘厳かつ感動的な宗教作品を多く生み出しています。さらに、協奏曲などの器楽曲も創作しており、その作品リストは彼が当時のナポリ音楽界の中心人物であったことを物語っています。

関連情報

ジュゼッペ・デ・マーヨの楽譜は、国際楽譜ライブラリープロジェクト（IMSLP）などで閲覧可能です。

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