ジュベル・アリ

ジュベル・アリとは

ジュベル・アリは、アラブ首長国連邦ドバイ首長国にある地域名であり、ペルシャ湾に面した巨大な港湾施設があることで知られています。ドバイ中心部から南西に約35キロメートル、アブダビ首長国との境界に近い場所に位置しています。

名称の由来

「ジュベル」はアラビア語で「山」を意味する「ジャバル」に由来し、現地発音の「ジバル」や「ジェベル」が英語表記の「Jebel」となり、日本語で「ジュベル」と表記されるようになりました。「アリー」はアラビア語の男性名で、「アリーの山」または「アリー山」という意味になります。

ジュベル・アリ港

1970年代後半から建設が開始されたジュベル・アリ港は、ドバイが以前に建設したラーシド港の成功を受けて、さらに大規模な港湾を求めた結果です。1977年に建設が始まったこの港は、当初、建設作業員のための小さな村でしたが、現在では世界最大級の人工港として、67のバースと134.68平方キロメートルの広大な面積を誇ります。

ジュベル・アリ港は中東最大のハブ港湾として、世界各地からの大型コンテナ船が寄港し、中東やインド洋沿岸への輸送拠点となっています。また、港湾に隣接する自由貿易地帯や工業地帯への輸送も活発に行われています。

ドバイ・ポーツ・ワールド

ジュベル・アリ港とラーシド港の運営で豊富な経験を積んだドバイ港湾局は、そのノウハウを活かすため、ドバイ・ポーツ・インターナショナル社を設立しました。その後、この会社はドバイ港湾局と合併し、現在では世界各地で港湾ターミナルを運営するドバイ・ポーツ・ワールド社となっています。

軍事利用

ジュベル・アリ港は、アメリカ海軍の艦船がアメリカ国外で最も頻繁に訪れる港の一つです。イラクやイランに近い戦略的な位置、深い水深、そして整備された施設により、ニミッツ級空母などの大型艦船が一度に停泊できます。

ジュベル・アリ地区

ジュベル・アリは、ジュベル・アリ、ジュベル・アリ・ビレッジ、ジュベル・アリ・フリーゾーン、ジュベル・アリ・インダストリアルの4つの地区で構成されており、ドバイ市を構成する重要な地域コミュニティです。世界中の大企業の物流施設や工場が集積しており、2000年には31,634人が居住していました。

ジュベル・アリ・フリーゾーン

1985年に設立されたジュベル・アリ・フリーゾーン（JAFZ）は、港を取り囲むように設置された工業地帯で、企業誘致のため、法人税の減免、個人所得税の免除、関税なし、取引通貨の制限なし、雇用契約の規制緩和などの優遇措置が提供されています。

ジュベル・アリ港とフリーゾーンは、ドバイを中東の物流と人流の中心地へと発展させる原動力となりました。また、この地域にはアール・マクトゥーム国際空港も建設されており、物流拠点としての重要性がさらに高まっています。

リゾート開発と自然環境

ジュベル・アリ港の両側の海岸では、埋め立てや運河建設によりリゾート開発が進められています。東側にはパーム・アイランドの一つであるパーム・ジュメイラが完成し、西側にはパーム・ジュベル・アリとドバイウォーターフロントが建設されています。

また、パーム・ジェベル・アリ西側の海域と海岸には、サンゴ礁、マングローブ、ラグーン、海草の藻場、カキの生息地、砂浜海岸などがあり、タイマイ、モトルドイーグルレイ、アオウミガメ、ジュゴン、ウスイロイルカなどの貴重な生物が生息しています。この地域は、2018年にラムサール条約登録地となりました。

まとめ

ジュベル・アリは、単なる港湾都市ではなく、物流、経済、レジャー、そして自然環境が融合した複合的な地域です。中東の主要なハブとしての地位を確立し、今後も更なる発展が期待されます。

もう一度検索