ジョアン・マテウス・アダミ

ジョアン・マテウス・アダミの生涯：日本における宣教と殉教

ジョアン・マテウス・アダミ（1576-1633）は、イタリア出身のカトリック司祭であり、イエズス会宣教師として日本で活動し、殉教しました。彼の生涯は、異国での宣教活動、禁教令下の苦難、そして信仰を貫いた強い意志を示すものと言えるでしょう。

生い立ちとイエズス会入会

1576年、アダミはイタリアのマツァーラ・デル・バーロで生まれました。19歳でイエズス会に入会し、ローマのコレジオ・ロマーノで哲学と神学を学び、司祭に叙階されます。その後、彼は神学の研究をさらに深めるため、1602年にインドのゴアを経てマカオへ渡りました。コレジオ・マカオで神学の研究を完成させ、1604年、ついに日本へと到着します。

日本での宣教活動

1604年、アダミはマカオからジャンク船で海を渡り、九州の大村で日本語の学習を始めます。同年9月には日本で神学の学位を取得しました。しかし、キリスト教を棄教した大村喜前によって大村を追放され、豊後高田教会へ身を寄せることになります。1607年からは筑後柳川の司祭館で主任司祭を務め、修道士の山ジョアンとの出会いを経て日本語を上達させ、彼の協力を得ながら7年間その職を務めました。

1612年、江戸幕府が禁教令を布告したため、1614年11月、アダミは38歳でマカオへ追放されます。山も同様にマカオへ流されました。

日本への再入国と奥州での宣教

1618年7月、アダミは他の日本人修道士たちと共に天草に再上陸を果たします。1619年まで大矢野に滞在しましたが、九州での迫害が激化したため、1620年に奥州へ向かい、そこで山と再会し、共に宣教活動に従事しました。アダミは会津若松近くの猪苗代のセミナリオに滞在し、猪苗代を知行する岡越後（定俊）の支援を受けました。岡越後は熱心なキリシタンであり、会津には多くのキリシタンがいました。1620年にはローマ法王パウロ5世からの激励の教書が届けられ、翌年には奥州のキリシタンたちがローマ法王へ奉答文を送っています。

猪苗代での内紛と捕縛、そして殉教

1623年頃から、猪苗代では内紛と迫害が始まりました。岡越後の甥である岡左衛門佐が棄教を強要し、キリシタンへの圧力を強めたのです。そのような状況下でも、この地域では多くの人々が洗礼を受けました。しかし、蒲生忠郷が左衛門佐の進言でキリシタンの迫害を始めると、アダミは居場所を失い、信者たちの家を転々としながら潜伏しました。

1630年、アダミは山を会津の教会に残し、江戸を経て長崎へ向かいます。その後、山は江戸へ送られ、1633年に穴吊るしの刑で殉教しました。アダミ自身も捕縛され、1633年10月22日、長崎西坂の丘で同じく穴吊るしの刑に処され、57歳で殉教しました。それは、福者に列せられた中浦ジュリアンが同じ場所で殉教した翌日のことでした。

ジョアン・マテウス・アダミの生涯は、異国での宣教活動の困難さ、禁教令下のキリシタンへの迫害、そして信仰を貫いた人々の勇気を物語っています。彼の生涯は、日本のキリスト教史における重要な証として、記憶されるべきでしょう。

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