ジョエル・グスマン

アービン・ジョエル・ビーゴ・グスマン：ドミニカが生んだパワーヒッター

アービン・ジョエル・ビーゴ・グスマン（Irvin Joel Vigo Guzman、1984年11月24日 - ）は、ドミニカ共和国出身のプロ野球選手で、外野手、内野手として活躍しました。NPB（日本プロ野球）での登録名は「グスマン」でした。

MLBでの輝きと苦悩

2001年、グスマンは当時最高額となる225万ドルの契約金でロサンゼルス・ドジャースに入団。その才能は早くから注目され、2004年にはジャクソンビル・サンズに昇格し、オールスター・フューチャーズゲームにも選出されました。2005年にはサザンリーグのオールスターにも選ばれ、2006年6月1日にはついにメジャーデビューを果たします。同年のオールスター・フューチャーズゲームでは、ジョーイ・ボットやカルロス・ゴンザレスといった錚々たるメンバーと共にクリーンナップを組むなど、将来を嘱望される存在でした。

しかし、メジャーでは8試合の出場に留まり、同年7月31日にフリオ・ルーゴとのトレードでタンパベイ・デビルレイズへ移籍。デビルレイズでは出場機会を得られず、2007年には16試合に出場するものの、2008年は主にマイナーリーグでプレーしました。その後、ワシントン・ナショナルズ、ボルチモア・オリオールズとマイナー契約を結びますが、メジャーへの定着は叶いませんでした。

中日ドラゴンズでの挑戦

2010年12月22日、グスマンは中日ドラゴンズと契約し、日本球界へ活躍の場を移します。2011年4月12日の対横浜ベイスターズ戦で「5番・右翼手」として先発出場し、来日初本塁打を放つなど、華々しいデビューを飾りました。しかし、その後は打撃不振に苦しみ、二軍降格も経験。夏場に一軍へ再昇格するも、守備の不安から一塁手としての出場が多く、シーズンを通して安定した成績を残すことができませんでした。結局、同年11月1日に戦力外通告を受け、日本での挑戦は1年で幕を閉じました。

メキシコ、独立リーグを経て

2012年以降は、シンシナティ・レッズとのマイナー契約、リーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボルでのプレー、独立リーグ・アトランティックリーグでの活動など、様々な舞台でプレーを続けました。

プレースタイルと評価

グスマンは、右方向にも長打を放てるパワーが持ち味で、その才能はミゲル・カブレラと比較されるほどでした。しかし、選球眼の悪さと内角の速球への弱さを克服できず、メジャーでは通算24試合の出場に終わりました。中日ドラゴンズ移籍後も、この弱点を突かれ、三振を喫することが多く、期待されたほどの活躍は見られませんでした。得点圏打率.115、出塁率.219という数字が、その苦戦ぶりを物語っています。ただし、館山昌平投手には相性が良く、対戦打率は.727という驚異的な数字を記録しています。

プロ入り当初は遊撃手でしたが、その後は三塁手、一塁手、外野手と様々なポジションを経験しました。中日ドラゴンズでは外野手登録となっています。

異色の髪型と人柄

来日当初、グスマンはひし形にカットされた髪がスキンヘッドの後頭部に残るという、独特な髪型をしていました。これは「いつまでも輝いていられるように」という意味を込めたダイヤモンドを表現したものだったそうです。その後は、チームメイトのトニ・ブランコに髪型をカットしてもらうなど、チームにも溶け込んでいました。

グスマンは、その才能と人柄で多くのファンを魅了しましたが、惜しくもそのポテンシャルを完全に開花させることはできませんでした。しかし、彼の記憶は、数々の記録とともに、ファンの心に深く刻まれています。

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