ジョスラン1世 (エデッサ伯)

ジョスラン・ド・クルトネー（ジョスラン1世）は、11世紀末から12世紀初頭にかけて活躍したエデッサ伯であり、その軍事的手腕と統治能力で知られています。彼はエデッサ伯国を最盛期に導いた人物として、歴史に名を刻んでいます。

生涯

ジョスランは、クルトネー領主ジョスラン1世とモンテリ領主ギー1世の娘エリザベトの間に生まれました。1101年、彼は十字軍に参加し、従兄弟のルテル伯ボードゥアンの指揮下で戦いました。その勇敢な働きにより、テル・バシール領主の地位を得ます。

その後、ジョスランはブロワ伯エティエンヌ2世の傘下に入り、共に戦いましたが、1104年のハッラーンの戦いでセルジューク朝軍に敗れ、捕虜となります。マルディン領主イルガジに身柄を拘束されたものの、1107年に20,000ディナールの身代金と引き換えに解放されました。

1113年からは、テル・バシールを中心に領土拡大に乗り出し、ユーフラテス川西岸地域に勢力を広げました。一方、ユーフラテス川東岸地域やエデッサは、ルテル伯ボードゥアンが統治していましたが、セルジューク朝の攻撃に悩まされていました。同年、ジョスランはガラリヤ公の爵位を求めてエルサレムに向かいますが、その隙にボードゥアンはテル・バシール領を没収してしまいます。

1118年、エルサレム王ボードゥアン1世が亡くなると、ルテル伯ボードゥアンがボードゥアン2世としてエルサレム王に即位します。テル・バシール領の件でボードゥアン2世に不満を持っていたジョスランですが、この時は彼の即位を支持します。ボードゥアン2世は、その支持に応えてジョスランにエデッサ伯国を与え、ここにジョスラン1世が誕生しました。

1122年、ジョスランはビレジク領主ヴァレランと共にテュルク人諸侯ベレク・ガーズィーに捕らえられ、カルプトに送られます。1123年4月には、同様に捕虜となっていたボードゥアン2世と共に監禁生活を送ります。しかし、50人のアルメニア人商人によって救出されます。アルメニア人たちは商人に変装し、砦に潜入、衛兵を殺害して彼らを救出したのでした。しかし、その直後、彼らが囚われていた砦はアルトゥク朝の大軍に包囲され、ジョスランはアルトゥク軍に支援を求めます。ボードゥアンはその後も砦に残っていましたが、後にアルトゥク軍に救出されます。

エデッサに戻ったジョスランは、伯領の拡大に注力し、1125年にはモースルのムスリム領主との戦いでアザーズにて勝利を収めます。

死

1131年、ジョスランはアレッポ北東部のムスリム砦を包囲中に、自軍の工兵による崩落事故に巻き込まれ重傷を負います。その直後、ダニシュメンド朝領主ガーズィー・グムシュテギンがカイスン砦を包囲しているとの報告を受けます。息子のジョスラン2世は攻撃を拒否しましたが、ジョスラン1世は自ら担架に乗り、カイスンへ進軍を開始。これを知ったガーズィーは包囲を解いて撤退しました。ジョスラン1世は、この最後の戦いを勝利で終えましたが、その後まもなく亡くなりました。

結婚と子女

ジョスランはアルメニア貴族ベアトリスと結婚しました。ベアトリスはアルメニア公コンスタンディン1世の娘です。ベアトリスは1119年に亡くなり、ジョスランとの間に以下の子をもうけました。

* ジョスラン2世（1159年没）：エデッサ伯

1122年、ジョスランはマリアと再婚。マリアはリッカルド・ディ・サレルノの娘で、アンティオキア公国摂政ルッジェーロ・ディ・サレルノの姉妹でした。

ジョスラン1世は、その生涯を通して勇敢さと戦略的才能を発揮し、エデッサ伯国を強固なものとしました。彼の戦績と統治は、十字軍時代の重要な出来事として、歴史に刻まれています。

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