ジョック・クリア

ジョック・クリア：F1界を支える名エンジニアの軌跡

1963年生まれのジョック・クリアは、イギリスを代表するF1エンジニアとして知られています。ポーツマス出身で、ヘリオット・ワット大学で機械工学を専攻。卒業後は造船会社に勤めていましたが、歴史的F1カーのイベントへの参加をきっかけに、自動車レースの世界へと足を踏み入れます。

設計エンジニアとしての才能

1988年、クリアはローラ・カーズに入社。CAD/CAM技術や複合素材に関する高い専門性を活かし、設計エンジニアとして才能を開花させます。その手腕はすぐに注目を集め、1989年にはベネトン・フォーミュラと2年契約を結びます。ジョン・バーナード率いるチームでコンポジット設計の責任者を務めた後、レイトンハウスを経て、ローラ時代の恩師であるクリス・マーフィーが率いるロータスに移籍します。

20年以上にわたるレースエンジニアとしてのキャリア

ロータスでの設計業務を経て、1994年、クリアはキャリアの転機を迎えます。ジョニー・ハーバートのレースエンジニアに任命されたのです。これが、彼の20年以上にわたるレースエンジニアとしてのキャリアの始まりでした。

ロータスの倒産を機にウィリアムズに移籍。デビッド・クルサード、そしてジャック・ヴィルヌーヴと、数々の名ドライバーをサポートします。ヴィルヌーヴと共にBAR（ブリティッシュ・アメリカン・レーシング）に移籍した後も、ホンダ、ブラウンGP、メルセデスとチームを渡り歩き、佐藤琢磨、ルーベンス・バリチェロ、ニコ・ロズベルグ、ミハエル・シューマッハ、そしてルイス・ハミルトンなど、F1界を代表する多くのドライバーのレースエンジニアを務めました。2014年にはハミルトンのチャンピオン獲得に貢献、その後フェラーリへと活躍の場を移します。

フェラーリと次世代育成

2016年、フェラーリにシニアパフォーマンスエンジニアとして加入したクリアは、2019年にはシャルル・ルクレールのレースエンジニアも務めました。現在は、フェラーリ・ドライバー・アカデミー（FDA）のコーチとして、次世代の育成にも携わっています。

多彩な才能と経験

クリアの経歴は、単なるエンジニアとしての成功物語ではありません。学生時代はラグビーに打ち込み、ヘリオット・ワット大学からは名誉工学博士号も授与されています。卓越した技術力、そして幅広い経験と人脈を駆使し、常にF1界の中枢で活躍し続ける彼の存在は、多くのドライバーやチームにとってかけがえのないものと言えるでしょう。彼の今後の活躍にも期待が高まります。

担当ドライバー一覧

ジョニー・ハーバート (1994年 ロータス)
デビッド・クルサード (1995年 ウィリアムズ)
ジャック・ヴィルヌーヴ (1996年 - 2003年 ウィリアムズ、BAR)
佐藤琢磨 (2003年 - 2005年 BAR)
ルーベンス・バリチェロ (2006年 - 2009年 ホンダ、ブラウン)
ニコ・ロズベルグ (2010年 - 2011年 メルセデス)
ミハエル・シューマッハ (2011年 - 2012年 メルセデス)
ルイス・ハミルトン (2013年 - 2014年 メルセデス)
* シャルル・ルクレール (2019年 フェラーリ)

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