ジョナサン・エリアス

ジョナサン・エリアス：多才な音楽家

ジョナサン・エリアス（1956年 - ）は、アメリカを代表する作曲家、音楽プロデューサー、そしてミュージシャンです。彼の名前は、映画のサウンドトラック、ポップやロック作品のプロデュース、そして数々の受賞歴を誇る広告音楽によって広く知られています。

生い立ちと音楽への目覚め

ニューヨークで生まれたエリアスは、6歳でピアノを始め、12歳になる頃にはブロードウェイ・ミュージカルに触発され、自ら作曲を始めていました。ロック音楽を愛好する一方で、バルトーク・ベーラ、イーゴリ・ストラヴィンスキー、セルゲイ・ラフマニノフといったクラシック音楽の巨匠たちにも傾倒していました。

クラシックの作曲家、そして指揮者を目指し、イーストマン音楽学校で音楽を学んだ後、ベニントン大学へ進学。学生時代には、映画『エイリアン』をはじめとする様々な映画予告編の音楽制作に携わり、その才能を開花させました。その後、『ブレードランナー』、『ガンジー』、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』といった名作の予告編音楽も担当しています。

映画音楽の世界では、『チルドレン・オブ・ザ・コーン』を皮切りに、『ハイスクール・ファイター』、『ペアレンツ』、『チャーリー』など、数多くの作品でサウンドトラックを手がけました。

エリアス・アソシエイツの設立と広告音楽での成功

1980年、エリアスは兄弟のスコット・エリアスと共に、音楽と広告の会社「エリアス・アソシエイツ」（後のエリアス・アーツ）を設立。同社は、MTVのブランドイメージとして使用された「月面着陸」のテーマ、コロンビア ピクチャーズのロゴ・テーマ、有名なYahoo!ヨーデル、ジョーバン・ムスクの「What is Sexy?」コマーシャルなど、記憶に残る数々の音楽を手がけ、広告音楽界で確固たる地位を築きました。

デュラン・デュランとの交流

1980年代初頭には、映画音楽の巨匠ジョン・バリーと出会い、『白と黒のナイフ』や『007 美しき獲物たち』といった作品で共同制作を行いました。1985年の『007 美しき獲物たち』のセッションで、エリアスはデュラン・デュランのメンバーと出会い、親交を深めます。

翌年、映画『ナインハーフ』のサウンドトラック制作中に、デュラン・デュランのベーシストであるジョン・テイラーとシングル「I Do What I Do」を共同作曲。この曲は、ジョン・テイラーにとって初のソロ作品となり、全英シングルチャートで42位、アメリカのBillboard Hot 100で23位にランクインしました。エリアスとテイラーは、シングルのB面として発表されたインストゥルメンタル曲「Jazz」も共同で制作しています。その後も、アルバムに収録される予定だった未発表曲を共同で制作し、1999年に発表されたジョン・テイラーのアルバム『Résumé』に収録されました。

エリアスは、グレイス・ジョーンズのアルバムをプロデュースした他、デュラン・デュランの1988年のアルバム『ビッグ・シング』を共同プロデュース。1995年のアルバム『サンキュー』では、モーグ・シンセサイザーの演奏で参加しています。

1989年には、自身初のソロ・アルバム『レクイエム・フォー・ジ・アメリカス』を発表。このアルバムには、デュラン・デュランのメンバーが多数参加し、サイモン・ル・ボンがソロ・トラック「Follow In My Footsteps」でリードボーカルを務め、バングルスのスザンナ・ホフスがバックアップボーカルで参加しています。ジョン・テイラーも「The Chant Movement」でベースを演奏するなど、デュラン・デュランのメンバーが様々な楽曲で才能を発揮しました。さらに、グレイス・ジョーンズ、トニ・チャイルズ、マイケル・ボルトン、パティ・スキャルファ、ジョン・アンダーソンなど、豪華なゲストボーカル陣がアルバムに華を添えました。

1990年代以降の活動

1991年には、イエスのアルバム『結晶』に参加しましたが、バンドメンバー間の不和や外部ミュージシャンの参加が影響し、アルバムは統一感を欠き、批評家やファンからの評価は高くありませんでした。エリアスは、このアルバムの失敗について非難されることもありました。

1992年、エリアスは拠点をカリフォルニアに移し、映画やロック音楽から広告音楽へと軸足を移します。エリアス・アーツは、ナイキの「Move」のテーマでエミー賞を受賞し、フォード、GM、日産、アウディ、インフィニティ、メルセデス、AT&T、NASDAQ、IBM、Apple、ソニー、リーバイス、アディダスなど、数々のトップ企業の広告音楽を手がけ、数十ものクリオ賞やその他の広告賞を受賞しました。

1992年から1993年にかけては、1993年の映画『ラスト・アクション・ヒーロー』で使用されたコロンビア・ピクチャーズのロゴのファンファーレを作曲し、現在も使用されています。

1999年には、ソロ・プロジェクトによるアルバム『プレイヤー・サイクル』を発表。ヘブライ語、ラテン語、スワヒリ語、ウルドゥー語など、12の言語による9部構成の現代合唱交響曲で、アラニス・モリセット、リンダ・ロンシュタット、ジェームス・テイラー、オフラ・ハザ、ヌスラト・ファテー・アリー・ハーン、サリフ・ケイタ、チベットのユンチェン・ラモなど、様々なジャンルのボーカリストが参加しています。

2004年には、ピアノと弦楽四重奏の作曲と、エミルー・ハリス、クリス・クリストファーソン、マーティ・スチュアート、ロザンヌ・キャッシュ、ジョニー・キャッシュ（彼の遺作となった録音作品の一つ）によるスポークン・ワードを組み合わせた作品『American River』をリリース。同作は、その年のベスト・ニューエイジ・アルバムでグラミー賞にノミネートされました。

ロバート・ダウニー・ジュニアとは、2004年のソロ・アルバム『ザ・フューチャリスト』や、主演映画『歌う大捜査線』のサウンドトラックでコラボレーションしています。2008年以降は、『シティ・オブ・ドッグス』（2006年）、『レジェンド・オブ・ウォーリアー 反逆の勇者』（2007年）などの映画音楽を手がけています。

2011年には、最新アルバム『Prayer Cycle: Path to Zero』をリリース。スティング、サリフ・ケイタ、ラハット・ファテ・アリ・ハーン、コーンのジョナサン・デイヴィス、ジョン・アンダーソン、トゥルーディー・スタイラー、アンジェリーク・キジョー、リチャード・ボナ、ユンチェン・ラモ、ダダワ、ロバート・ダウニー・ジュニア、シネイド・オコナー、サージ・タンキアン、アレックス・エバート、そしてアーカイブ録音を通じてジム・モリソンといった、豪華なゲストボーカリストが参加しています。

ジョナサン・エリアスは、その多岐にわたる才能と創造性によって、音楽界に多大な貢献を果たし続けています。

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