ジョナサン・ゴーブル

ジョナサン・ゴーブル：日本における初期プロテスタント宣教のパイオニア

ジョナサン・ゴーブル（1827-1896）は、アメリカ北部バプテストの宣教師であり、聖書販売人、そして軍人という異色の経歴を持つ人物です。彼は幕末の日本において、キリスト教の伝道と普及に尽力しました。

波乱万丈な前半生

1827年、ゴーブルはニューヨーク州で生まれました。11歳の時に父親を亡くし、その後は荒れた生活を送ります。1846年には強盗未遂で投獄されるという過去も持ちますが、獄中で回心し、洗礼を受けました。この経験が、彼の人生を大きく変える転機となります。

ペリー艦隊の一員として来日

1851年、ゴーブルはペリー率いるアメリカ艦隊に海兵隊員として参加し、日本へ向かいます。琉球や浦賀、横浜、下田、箱館などに上陸し、日本の地を踏みました。琉球ではベッテルハイムと出会い、日本でのキリスト教伝道への志を抱きます。帰国時には、漂流民の仙太郎と行動を共にしました。

宣教師としての活動

帰国後、ゴーブルは仙太郎と共に学園に入学しますが、結婚を機に退学。その後、アメリカ・バプテスト自由伝道協会に働きかけ、1859年に日本派遣宣教師として任命されます。彼は自給宣教師として、寄付金のみで生活を支えながら伝道活動を行いました。

1860年、ゴーブルは妻と仙太郎と共に神奈川に到着。ヘボンやブラウンらが住む成仏寺の庭に小屋を建てて生活を始めます。その後、居留地に移り住み、伝道活動を続けました。1868年には、居留地に小会堂を建設し、礼拝の場を設けました。

バラとの対立と帰国

ゴーブルは、同じく宣教師であるバラとの間で、教会堂や邸宅の建築費用をめぐり対立します。裁判の結果、ゴーブルが勝訴しましたが、1871年には岩倉使節団の船に同乗してアメリカへ帰国しました。

ゴーブルの遺産

ジョナサン・ゴーブルは、困難な状況の中で、日本のプロテスタント宣教の基礎を築いた一人です。彼の活動は、後の宣教活動に大きな影響を与えました。また、彼は聖書の翻訳にも携わり、日本語訳聖書の普及にも貢献しました。

ゴーブルの生涯は、波乱に満ちたものでしたが、回心と信仰によって人生を大きく変え、日本におけるキリスト教伝道に情熱を注いだ彼の功績は、今もなお語り継がれています。

参考文献
川島第二郎『ジョナサン・ゴーブル研究』新教出版社、1988年。ISBN 4-400-21283-1
川島第二郎『ジョナサン・ゴーブル訳「摩太福音書」の研究』明石書店、1993年。ISBN 4-7503-0537-5
* ジェームズ・バラ著 飛田妙子訳『日本最初のプロテスタント教会を創ったジェームズ・バラの若き日の回想』キリスト新聞社、2018年。ISBN 978-4-87395-744-9。

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