ジョナサン・マーティン

ジョナサン・マーティン：苦悩を乗り越えたアメリカンフットボール選手

ジョナサン・マーティン（Jonathan Martin, 1989年8月19日 - ）は、アメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグ出身のアメリカンフットボール選手でした。ポジションはオフェンシブタックル。

生い立ちと大学時代

ハーバード大学卒の両親のもとに生まれたマーティンは、父が学者、母が米国トヨタの法務部門幹部という恵まれた環境で育ちました。スタンフォード大学に進学した彼は、1年次の2009年に左タックルとして11試合に先発出場を含む13試合に出場し、パシフィック・テン・カンファレンスのセカンドチームとフレッシュマンオールアメリカンに選出されるなど、早くからその才能を発揮しました。

2年次の2010年には、パシフィック・テン・カンファレンスのファーストチームに選ばれ、Scout.comからもオールアメリカンのファーストチームに選ばれるなど、その評価をさらに高めました。2011年にもパシフィック12カンファレンスのファーストチームに選ばれています。

NFLでのキャリア

2012年1月3日、マーティンは最終学年でのプレーをせずにNFLドラフトへのアーリーエントリーを表明しました。アンドリュー・ラックのブラインドサイドを守った彼は、ドラフトを前にマット・カリル、ライリー・リーフに次ぐ3番目のタックルとして評価されていました。

2012年のNFLドラフトで、2巡全体42位でマイアミ・ドルフィンズに指名され入団。ドルフィンズが2008年のドラフト全体1位で獲得し、4年連続でプロボウルに選ばれているジェイク・ロングの放出報道の憶測も流れました。1年目の2012年は、全16試合に先発出場を果たしました。

しかし、2013年10月、チームメイトのリッチー・インコグニートから人種差別的な中傷を含むボイスメールを受けるなどの嫌がらせを受け、精神的な苦痛からチームを離脱。インコグニートは無期限の出場停止処分を受けました。ドルフィンズは、そのシーズン中にインコグニートが復帰しないことを発表しました。

2014年2月14日、独立調査機関による調査報告書が公表され、インコグニートだけでなく、ジョン・ジェリー、マイク・パウンシーからもマーティンやアシスタントトレーナーがパワーハラスメントを受けていたことが明らかになりました。同年3月11日、サンフランシスコ・フォーティナイナーズにトレード。開幕ロースターに残った場合、2015年のNFLドラフト7巡指名権をドルフィンズが得るという条件でした。アンソニー・デービスの負傷もあり、マーティンは開幕戦から右タックルで先発出場し、この年は15試合に出場しました。しかし、2015年3月26日にウェイバーにかけられ、カロライナ・パンサーズが獲得するも、背中の怪我のため2015年シーズンを棒に振り、現役引退を決意しました。

引退後

現役引退後は、心のケアに専念しながら、自身の経験を活かして、いじめ問題に関する啓発活動などを行っていると推測されます。

ジョナサン・マーティンの苦悩は、プロスポーツの世界におけるハラスメント問題の深刻さを浮き彫りにしました。彼の経験は、スポーツ界における健全な環境づくりに向けた議論を活発化させるきっかけとなりました。

外部リンク

通算成績と情報 NFL.com, or ESPN, or Pro-Football-Reference （英語）
Miami Dolphins bio （英語）
Stanford Cardinal bio （英語）
ドルフィンズTジョナサン・マーティンの苦悩

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