パシフィック12カンファレンス

パシフィック12カンファレンス（Pac-12）とは

パシフィック12カンファレンス（Pacific-12 Conference, 通称 Pac-12）は、アメリカ合衆国の大学スポーツにおける重要なカンファレンスの一つです。1959年に創設され、当初は西部6州（アリゾナ州、オレゴン州、カリフォルニア州、ワシントン州、コロラド州、ユタ州）の12校が参加していました。

しかし、2020年代に入り、カンファレンスの再編の波にもまれ、2024年現在は2校のみとなっています。もっとも、2026年には8校体制となる予定で、新たな展開が期待されています。Pac-12は、全米大学体育協会（NCAA）の Division I（全スポーツ）, Division I-A（アメリカンフットボール）のメンバーです。

歴史

西海岸大学連盟（PCC）の結成

Pac-12の起源は、1915年12月15日にオレゴン州ポートランドで開かれた会議に遡ります。この会議で西海岸大学連盟（Pacific Coast Conference, PCC）が結成されました。創設メンバーは、カリフォルニア大学バークレー校、ワシントン大学、オレゴン大学、オレゴン州立大学の4校でした。

PCCは1916年に活動を開始し、翌年にはワシントン州立大学、1918年にはスタンフォード大学が加盟しました。1922年には南カリフォルニア大学とアイダホ大学が加わり、8校に拡大。1924年にはモンタナ大学、1928年にはカリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）が加盟し、10校の連盟となりました。

PCCの解散と西部大学体育連盟（AAWU）の結成

1950年にモンタナ大学が脱退し、山岳部州連盟（Mountain States Conference）に加盟。その後、1958年まで西海岸大学連盟は続きましたが、1959年に解散しました。

1959年7月1日、西部大学体育連盟（Athletic Association of Western Universities）が結成され、カリフォルニア大学バークレー校、スタンフォード大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、南カリフォルニア大学、ワシントン大学が加盟しました。

パシフィック8、パシフィック10への改称

1962年にワシントン州立大学が加盟、1964年にはオレゴン州立大学とオレゴン大学が加盟し、パシフィック8カンファレンス（Pacific-8 Conference, 通称 Pac-8）として再編成されました。1978年にはアリゾナ大学、アリゾナ州立大学が加盟し、パシフィック・テン・カンファレンス（Pacific-10 Conference, 通称 Pac-10）と名称を変更しました。

パシフィック12への改称とディビジョン制の導入

2010年7月には、コロラド大学ボルダー校、ユタ大学の2校が加盟したことで、名称を現在のパシフィック12カンファレンスに変更しました。同時に、カンファレンスを North Division, South Division の2ディヴィジョン制に再編しました。

NCAAでの実績

NCAAでの実績は、南カリフォルニア大学（USC）とカリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）が特に優れています。1960年代後半から1970年代前半にかけては、UCLAの男子バスケットボールチームが黄金時代を築きました。フットボールにおいては、1960年代にO・J・シンプソンらを擁し黄金時代を築いたUSCが、2000年代に入って古豪復活を遂げました。野球に関しては、オレゴン州立大学が2005年から2007年まで3年連続でカレッジ・ワールド・シリーズに出場し、2006年と2007年には同タイトルを獲得しています。

2020年代のカンファレンス再編

2020年代に入り、NCAAにおけるカンファレンス再編の波において、Pac-12はもっとも大きな影響を受けました。2022年6月30日、UCLAとUSCがPac-12を脱退し、2024年よりBig Tenカンファレンスへの所属を発表。翌年7月にはコロラド大学ボルダー校がBig 12カンファレンスへの所属を発表し、8月にはオレゴン大学・ワシントン大学の2校がBig Tenへ、アリゾナ大学・アリゾナ州立大学・ユタ大学がBig 12へ加盟することを明らかにしました。2023年9月には、スタンフォード大学・カリフォルニア大学バークレー校が2024-25シーズンからのACC所属を発表しました。

現在の状況と将来の展望

これにより、一時はオレゴン州立大学とワシントン州立大学の2校のみが残るという状況になりました。残る2校は、「Pac-12」の商標権やカンファレンスの残存資産などを引き継ぐ形で、マウンテン・ウェスト・カンファレンス（MWC）との合併などを検討しましたが、最終的に2年間の猶予期間の間に新たな加盟校を集め、存続を目指す方向となりました。

2024年9月には、Pac-12とユタ州立大学が声明を発表し、2026-27シーズンよりユタ州立大学、ボイシ州立大学、コロラド州立大学、カリフォルニア州立大学フレズノ校、サンディエゴ州立大学の5校がPac-12に加入することが明らかになりました。さらに10月にはゴンザガ大学の加入も発表され、カンファレンス存続に必要な「最低8校の加盟校」を充足する見込みとなっています。

Pac-12は、激動の時代を乗り越え、新たな加盟校とともに、再びアメリカ大学スポーツ界で存在感を示すことができるのか、今後の動向から目が離せません。

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