ジョニー・エバース

ジョン・ジョセフ・エバース：機知に富んだプレーで名を馳せた名二塁手

ジョン・ジョセフ・エバース（John Joseph Evers, 1881年7月21日 - 1947年3月28日）は、アメリカ合衆国ニューヨーク州トロイ出身のプロ[[野球選手]]です。ポジションは二塁手で、右投げ左打ちでした。その小柄な体格から「カニ」という愛称で親しまれ、1900年代初頭のシカゴ・カブスの黄金時代を築いた一人として知られています。

カブス黄金時代を支えた名手

1902年にカブスでデビューしたエバースは、当時としては非常に小柄な選手でした。しかし、フランク・セレー監督は彼の積極的な守備を高く評価し、レギュラー二塁手として起用しました。1906年から1908年にかけて、カブスはナショナルリーグ3連覇を達成し、そのうち2度はワールドシリーズも制覇しました。エバースは、遊撃手のジョー・ティンカー、一塁手のフランク・チャンスと共に「ダブルプレイトリオ」として、カブスの堅守を支えました。

当時、カブスの内野陣の連携は非常に優れており、特に併殺プレーは観客を魅了しました。ニューヨーク・ジャイアンツの番記者が、その連携を称賛する詩を新聞に掲載したことがきっかけで、彼らの名前を連ねた「ティンカー・トゥ・エバース・トゥ・チャンス」というフレーズが有名になりました。

伝説的なアピールプレー

エバースの名前を不朽のものにしたのが、1908年9月23日のジャイアンツ戦でのプレーです。9回裏二死一、三塁の場面で、ジャイアンツのアル・ブリッドウェルがセンター前ヒットを放ち、サヨナラ勝ちと思われました。しかし、一塁走者のフレッド・マークルは、歓喜のあまり二塁ベースを踏まずにベンチに下がってしまいました。これを見逃さなかったエバースは、三塁方向からの返球を要求し、二塁ベース上でボールを受け取ると、マークルの走塁ミスを二塁塁審のハンク・オーデイにアピール。オーデイはこのアピールを認め、マークルはアウトとなりました。このプレーにより、試合は打ち切りとなり、後日再試合が行われました。

このプレーは、実は3週間前のパイレーツ戦でも同様の出来事が起こっており、その際にも二塁塁審はオーデイでした。当時の野球界では、一塁走者が二塁ベースを踏まずに帰塁するのが慣例となっていましたが、エバースはオーデイに「今度同じプレーを見たらアウトにする」と約束を取り付けていたのです。このエピソードは、エバースの機転とルールに対する厳格さを示すものとして、語り継がれています。

再試合でジャイアンツを下したカブスは、この年のナショナルリーグを制覇し、ワールドシリーズでもデトロイト・タイガースを破り、見事ワールドチャンピオンに輝きました。

その後のキャリアと「エバース戦法」

1914年にボストンに移籍したエバースは、打率.279を記録し、最高守備率をマークしてリーグMVPに輝きました。選手としての実働は1917年までで、その後は1924年にホワイトソックスの監督を務め、1929年に引退しました。引退後は、ボストン・ブレーブスのスカウトや営業支配人、マイナーリーグの監督などを歴任しました。

日本では、バントの構えからバットを引くことを「エバース」と呼ぶことがあります（近年ではあまり使われません）。これは、エバースが考案した戦法に由来しています。バントの構えで相手内野守備陣を前に誘導する戦術を「エバースシステム」または「エバース戦法」と呼び、この名前が転じたものです。

1946年、ベテランズ委員会の選考によってアメリカ野球殿堂入りを果たし、その功績が讃えられました。しかし、翌年の1947年3月28日、脳出血のため65歳でこの世を去りました。

詳細情報

年度別打撃成績
（記録不明箇所あり）

表彰
シーズンMVP（チャルマーズ賞）：1914年
ワールドシリーズ出場:4回（1906年 - 1908年、1914年）

監督としての戦績
（順位は年度最終順位）

脚注

関連項目

兄弟スポーツ選手一覧

出典・外部リンク

監督の通算成績と情報 Baseball-reference.com
Baseballhalloffame.org（英語）– アメリカ野球殿堂（National Baseball Hall of Fame）による紹介
選手の通算成績と情報 Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
通算成績（レトロシート）

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