ジョフロワ1世・ド・ヴィルアルドゥアン

ジョフロワ1世・ド・ヴィルアルドゥアン：アカイア公国の創始者

ジョフロワ1世・ド・ヴィルアルドゥアン（1169年頃 - 1229年頃）は、第4回十字軍に参加したシャンパーニュ伯国出身のフランス人騎士であり、後のアカイア公国（現在のギリシャ・ペロポネソス半島）の創始者の一人として知られています。彼の生涯は、十字軍遠征、領土の征服、そして教会との対立に彩られています。

生涯

若年期と第4回十字軍への参加

ジョフロワは、ジャン・ド・ヴィルアルドゥアンとセリーヌ・ド・ブリエールの長男として生まれました。彼は1199年、叔父であるジョフロワ・ド・ヴィルアルドゥアン（年代記編者として知られる）と共に十字軍への参加を決意します。しかし、彼は他の騎士たちと共に直接シリアへ向かったため、1204年のコンスタンティノープル占領には参加していません。

コンスタンティノープルの占領の知らせを受けたジョフロワは、シリアから西方へ向かいますが、悪天候によりペロポネソス半島南部のモドンに漂着し、そこで冬を過ごすことになります。

ペロポネソスの征服

モドンでジョフロワは、メッシニアのギリシャ人領主と同盟を結び、ペロポネソス半島西部の征服を目指します。しかし、領主の死後、その息子が同盟を破棄。そんな中、ジョフロワはテッサロニキ王ボニファーチョがナフプリオンにいることを知り、支援を求めて彼の元へ向かいます。

ボニファーチョ王の軍に加わったジョフロワは、そこで旧友ギヨーム1世・ド・シャンリットと再会し、彼をペロポネソス半島征服に誘います。1205年春、ギヨームと共に遠征を開始し、パトラやPondikosを攻略。Andravidaは住民が降伏し、ギヨームは住民の財産と文化を保証します。その後、アルカディア地方で抵抗を受けますが、クントゥラスの戦いで勝利し、半島の内陸部へと進軍します。

ギヨーム・ド・シャンリットはアカイア公の称号を得て、ジョフロワはカラマタとメッシーナを封土として授与されます。しかし、ヴェネツィア共和国がモドンとコロンを奪取したため、ギヨームはジョフロワにアルカディア地方の領有権を認めました。

アカイア公としての統治

1208年、ギヨームがフランスへ帰国する際、ジョフロワを公爵代理に任命します。ギヨームとその後継者ユーグが相次いで亡くなったため、1209年5月、ラテン皇帝アンリ1世はジョフロワをアカイア公に任命し、ラテン帝国の直属家臣としました。

公爵となったジョフロワは、ヴェネツィア共和国との条約を締結し、コリントスからピュロス港に至るまでの地域におけるヴェネツィアへの従属を認めました。

ジョフロワは公国の拡大に尽力し、アテネ公オットー・ド・ラ・ロッシュの支援を得て、1209年または1210年にアクロコリントスの城砦を制圧。その後もナフプリオンやアルゴスの要塞を攻略し、テーベをオットーと共同統治しました。

彼はフランスから若い騎士を呼び寄せ、新たな領地を与えました。また、アンドラヴィダで開催された会議で、貴族らに対する領邦の割り当てと封建的義務が取り決められ、アカイア公国には12前後の貴族領が誕生しました。

教会との対立

ジョフロワの治世下では、教会資産の世俗化が進み、教会との対立が深まりました。教会が軍事支援を拒否した際には、教会財産を没収してクレルモン城を建設。また、ギリシャ人聖職者を農奴として酷使したため、教会との争いが長期化しました。

コンスタンティノープル大司教はジョフロワを破門し、聖務禁止令を発布しますが、ローマ教皇ホノリウス3世の介入により、破門は解除されます。しかし、その後も教皇特使によって破門宣告が下され、1223年になってようやく和解が成立しました。

死去

ジョフロワは1228年から1230年の間に亡くなり、アンドラヴィダの聖ジェームズ教会に埋葬されました。彼の死後、アカイア公国は彼の息子であるジョフロワ2世によって引き継がれ、発展を続けました。

ジョフロワ1世・ド・ヴィルアルドゥアンは、その軍事的な才能と政治手腕によって、アカイア公国を築き上げ、その基礎を固めた人物として、歴史に名を残しています。

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