ジョンソン・マッセイ

ジョンソン・マッセイ(Johnson Matthey plc、以下JM)は、イギリス・ロンドンに本拠を置く、触媒や貴金属化合物などの製造・販売を行う世界的企業です。ロンドン証券取引所にも上場しており、世界30カ国以上に事業を展開するグローバル企業として知られています。

JMの歴史は1817年、パーシバル・ノートン・ジョンソンによる貴金属分析ビジネスの設立に始まります。その後、1838年にジョージ・マッセイが加わると、その卓越した能力により企業は大きく発展しました。1851年のロンドン万国博覧会では、貴金属の供給において成功を収め、社名も現在のジョンソン・マッセイへと改称されました。翌年にはイングランド銀行の公定分析機関に認定され、世界初のプラチナイリジウム合金によるメーターを製造、国際度量衡局に採用されるなど、高い技術力を示しました。

20世紀に入ると、自動車の普及に伴い、プラチナなどの貴金属の自動車産業への販売に注力するようになります。[1927年]]にはアメリカに進出し、第二次世界大戦後にはアジア市場へも進出。宇宙開発競争が激化する中、[[アメリカ航空宇宙局]の宇宙プログラムに電極触媒を供給するなど、その技術力は世界的に認められるようになりました。

1956年以降、イギリスとアメリカで制定された大気浄化法を受け、JMは排出制御触媒の製造を開始。ロジウムを用いたヒドロホルミル化技術により、自動車排出ガス浄化技術のコスト削減に大きく貢献しました。さらに、抗がん剤であるシスプラチンの研究支援を通じて医療分野にも進出し、幅広い事業展開を推し進めました。2001年には、スコットランドの製薬向け化学会社マクファーラン・スミスを買収するなど、積極的な経営を続けています。2015年には、金銀精錬事業をアサヒホールディングスに売却しました。

現在のJMの事業は、自動車排気ガスなどの環境浄化用触媒が6割強を占め、これが主力事業となっています。貴金属関連事業が2割強、医療分野が6%、燃料電池などの新規事業が1割弱という構成です。

日本においては、1969年に田中貴金属工業との合弁会社である田中マッセイ株式会社を設立したのが始まりです。その後、1991年に合弁事業を解消し、ジョンソン・マッセイ・ジャパン株式会社を設立。1993年には栃木県喜連川町にテクニカルセンターを開設しました。2002年には燃料電池部門を独立させ、ジョンソン・マッセイ・フュエルセルズ・ジャパン株式会社を設立しました。現在では、ジョンソン・マッセイ・ジャパン合同会社と、ジョンソン・マッセイ・フュエルセルズ・ジャパン株式会社の2法人体制で事業を展開しています。本社工場およびテクニカルセンターは栃木県さくら市に、東京には事業所を構えています。

ジョンソン・マッセイ・ジャパン合同会社は、自動車用触媒システムの製造・販売が中心です。ガソリンエンジンやディーゼルエンジンから排出される有害物質を浄化する触媒を製造し、販売しています。また、貴金属の回収精製や貴金属ペースト、化合物の販売も行っています。

ジョンソン・マッセイ・フュエルセルズ・ジャパン株式会社は、燃料電池用触媒や触媒コンポーネントの販売を行っています。

このように、ジョンソン・マッセイは長年にわたる技術開発と事業展開により、自動車産業、医療、環境、そして近年では燃料電池など、多様な分野に貢献するグローバル企業として成長を続けています。

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