ジョン・アンスティス (1708-1754)

ジョン・アンスティス：紋章官としての生涯と業績

ジョン・アンスティス（John Anstis、1708年11月17日 – 1754年12月5日）は、18世紀のイギリスにおいて重要な役割を果たした紋章官です。彼はガーター・プリンシパル・キング・オブ・アームズという要職を長年にわたり務め、また、バス騎士団の初代ブラン・クールシエ・ヘラルドとしてもその名を知られています。

生い立ちと教育

1708年、ジョン・アンスティスは、同じく紋章官であったジョン・アンスティスとその妻エリザベス（旧姓カッドリップ）の間に生まれました。彼は7人兄弟の末っ子として、ロンドンのセント・クレメント・デーンズで生を受けました。幼少期にはウェストミンスター・スクールに短期間在籍した後、家庭教師による教育を受けました。1725年にはオックスフォード大学のコーパス・クリスティ・カレッジに入学し、学問に励みました。

紋章官としてのキャリア

アンスティスの紋章官としてのキャリアは、1725年のバス騎士団再興とともに始まりました。彼は騎士団付きの系譜学者に任命され、翌年にはブラン・クールシエ・ヘラルドに指名されました。1727年には正式にこの役職に任命され、以降、その職を生涯にわたって務めました。さらに、父親が務めていたガーター・プリンシパル・キング・オブ・アームズの地位も、1727年に共同就任し、1730年に正式に就任しました。

法曹界での活動と栄誉

紋章官としての活動と並行して、アンスティスは法曹界にも足を踏み入れました。1730年にミドル・テンプルに入学し、翌年には弁護士資格を取得しました。その後も、1749年にオックスフォード大学からD.C.L.（民法学博士）の学位を授与され、ミドル・テンプルの評議員に選出されるなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

外国への訪問とガーター勲章授与

アンスティスは、ガーター・キング・オブ・アームズとして、しばしばヨーロッパ大陸を訪問し、外国の要人にガーター勲章を授与する任務を担いました。1733年には、父とともにデン・ハーグに赴き、オラニエ公ウィレム4世にガーター勲章を授与しました。これらの活動は、イギリスとヨーロッパ諸国との外交関係において重要な役割を果たしました。

晩年と評価

1744年に父親が亡くなると、アンスティスは遺産を継承し、単独で紋章官の職務を継続しました。1754年12月5日、生涯未婚のままモートレイクで亡くなり、コーンウォールのデューローに埋葬されました。

アンスティスの紋章官としての能力は一般的に高く評価されていますが、その性格は「激しく執念深い」と評されることもあり、敵も多かったようです。特に、紋章院の同僚からは敵視されることが少なくなかったと伝えられています。同時代の紋章官ジョン・ウォーバートンは、アンスティスを「（紋章学について）何も知らないことだけが特筆に値する」と酷評しています。

ジョン・アンスティスは、その多岐にわたる活動を通じて、18世紀イギリスの社会と文化に大きな影響を与えた人物と言えるでしょう。

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