ジョン・アーバスノット・フィッシャー

初代フィッシャー男爵ジョン・アーバスノット・フィッシャーの生涯と業績

ジョン・アーバスノット・フィッシャー（1841年1月25日 - 1920年7月10日）は、イギリス海軍の重要な指導者であり、艦艇の建造や戦術の改革に多大な影響を与えた軍人です。ジャッキー・フィッシャーと呼ばれる彼は、英海軍の革新者として名を馳せ、特に巡洋戦艦や潜水艦、航空母艦の建造に携わりました。彼の軍歴は60年にわたり、イギリス海軍における人事改革や教育制度の改善にも貢献しました。

幼年時代

フィッシャーは1854年にスリランカで生まれました。彼は11人兄弟の長男として、父ウィリアム・フィッシャーのもとで育ちました。父はセイロン総督の副官を務めていたことから、ある程度の名声はありましたが、フィッシャー家は裕福ではありませんでした。彼は6歳の時に母方の祖父と一緒にイングランドに引き送られ、そこでの新しい生活が始まりました。

初期の経歴（1854年 - 1869年）

フィッシャーは13歳で海軍に入隊し、戦列艦「カルカッタ」で士官候補生としての道を歩み始めました。この時期、クリミア戦争に参加し、その後は東インド艦隊でアロー戦争にも従軍しました。本国に戻った彼は海軍砲術学校で学び、全鋼鉄製の艦「ウォーリア」に砲術将校として勤務しました。この艦は新しい時代の幕開けを告げるものであり、フィッシャーのその後のキャリアに大きな影響を与えました。

海尉艦長時代（1869年 - 1876年）

28歳で海尉艦長に昇進したフィッシャーは、ドイツに派遣されて魚雷や機雷に関する調査を行いました。この経験から、彼は電気魚雷の研究に力を入れるようになりました。さらに、砲術学校に戻ったフィッシャーは、魚雷と機雷の訓練課程を分離し、新たな水雷訓練の枠組みを設けました。

艦長時代（1876年 - 1890年）

フィッシャーは艦長として5隻の艦を指揮しましたが、特に装甲艦「インフレキシブル」での任務が際立っています。この艦は当時の最強軍艦とされましたが、実際にはその設計が問題を抱えていたため、実戦では効果的に機能しませんでした。艦長時代、フィッシャーはエドワード7世国王やアレクサンドラ王妃と親しい関係を築き、やがて海軍の軍需部門の長職にも就任しました。

提督時代（1890年 - 1902年）

第三海軍卿として、フィッシャーは水雷艇駆逐艦の開発に尽力し、海軍中将に昇進しました。地中海艦隊の司令長官としても重要な役割を担い、危険な国際情勢に対する艦隊運用に貢献しました。この時期、彼は海軍大将に昇進しました。

第一海軍卿就任とドレッドノート建造

1902年に第一海軍卿に就任したフィッシャーは、ドレッドノートの設計を主導し、海軍の革新を進めました。彼の戦艦に対するビジョンは当時の技術革新に基づき、イギリス海軍の基盤を大きく変えることになりました。

第一次世界大戦と晩年

第一次世界大戦勃発時に再び第一海軍卿に任命されたフィッシャーはガリポリ上陸戦の責任問題に巻き込まれ、結局辞任となりました。戦争の終息後、彼は平穏な生活を送りましたが、1920年に癌で亡くなりました。彼の功績は海軍において計り知れず、その業績は後世にわたって称えられています。フィッシャー男爵の爵位は現在もその子孫に受け継がれています。

勲功

フィッシャーは生涯の中で数多くの勲章を受け、特にバス勲章やメリット勲章、ロイヤル・ヴィクトリア勲章などは彼の貢献を示す重要な証となっています。

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