ジョン・エリック・シドニー・トンプソン

ジョン・エリック・シドニー・トンプソン

サー・ジョン・エリック・シドニー・トンプソン（1898年12月31日 - 1975年9月9日）は、イギリス出身の考古学者、民族歴史学者であり、特にマヤ文明とその文字についての研究で知られています。彼の業績は多大な影響を持つ一方、批判も多く受けていました。

幼少期から青年期

トンプソンはロンドンで生まれました。彼の父は著名な外科医であり、トンプソンは文明の中心で教育を受けた環境で育ちました。14歳でウィンチェスター・カレッジに進学し、独立した教育を受けました。1915年、第一次世界大戦が激化する中、彼は自ら志願して陸軍に入隊しますが、負傷後に帰国し、戦争が終わるまで軍務に従事しました。

アルゼンチンとケンブリッジ大学

戦後、トンプソンはアルゼンチンに渡り、4年間過ごしました。この経験は彼の文筆活動の起点となり、イギリスに戻った後、アルゼンチンでの生活についての最初の記事を発表しました。1920年にケンブリッジ大学に入学し、人類学を学ぶ中でマヤ文明への強い関心を抱くようになります。その後、カーネギー研究所で進んで自身の研究を深めていきました。

マヤ文明への貢献

トンプソンは、1925年にカーネギー研究所に所属することになり、そこから本格的にマヤ文字に関する研究を始めます。彼は現地調査を行い、特にチチェン・イッツァの戦士の神殿を復元することに貢献しました。彼の著書『マヤ神聖文字入門』や『マヤ神聖文字カタログ』は、マヤ文字研究の基盤を形成し、後の研究者たちにおいても必読の文献となっています。

トンプソンは、マヤ長期暦の解読にも重要な役割を果たしました。彼はジョゼフ・グッドマンの理論を基に、日付の数え方を定義する記号を発見し、この成果は現在の定説として広く受け入れられることに繋がりました。

受賞と晩年

1958年にはカーネギー研究所のマヤ研究部門が解体され、その後イギリスに戻ったトンプソンは晩年をエセックスで過ごしました。1970年には名誉あるトーマス・ハックスリー記念賞を受賞し、1975年には大英帝国勲章のナイト・コマンダーに叙されました。同年、ボリビアを訪れている際に高山病となり、帰国後まもなく亡くなりました。

論争と批判

トンプソンの研究は高く評価される一方で、彼には多くの批判も寄せられています。特に、彼は自身の見解と異なる意見に対して攻撃的であり、言語学的な視点からマヤ文字を扱わなかったことで著名な学者たちとの対立を招きました。彼の手法や考え方に異議を唱える声も多く、現在では彼の考え方が一部の学者によって見直されていることも事実です。

結論

トンプソンの功績は、マヤ文明の理解を深める上で欠かせないものです。彼の研究は、今なお多くの考古学者や研究者に影響を与え続けています。彼の情熱と探求心は、マヤ文明研究の礎となり、その存在感は後世にわたり記憶されることでしょう。

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