ジョン・ガードナー (作曲家)

ジョン・ガードナー（John Gardner）は、1917年3月2日に生まれ、2011年12月12日にその生涯を閉じたイギリスの作曲家です。イングランド北西部の主要都市マンチェスターに生を受けた彼は、ウェリントン大学を経て、オックスフォード大学エクセター・カレッジで音楽を学びました。オックスフォード時代には、後に著名な社会哲学者・音楽学者となるテオドール・アドルノと親交を結び、共にピアノ演奏を楽しむ間柄であったことは特筆されます。

大学での学業を終えた後、ガードナーはオックスフォード大学出版局のヒューバート・フォスを介して作曲家アーサー・ベンジャミンと知遇を得ました。この出会いは彼の初期の創作活動に影響を与え、1935年には「オーボエと弦楽四重奏のための狂詩曲」を作曲し、これをベンジャミンに献呈しています。この作品は翌年には初めて一般に公開されました。さらに1938年に完成した弦楽四重奏曲第1番は、翌1939年にパリでラジオ放送されるなど、若くして作曲家としての才能の萌芽を見せていました。

その後、ガードナーはラプトン校で音楽教師を務めましたが、1940年からは第二次世界大戦下の軍務につき、軍楽隊長として活動しました。この軍務期間中に、彼は後に自らの名を高めることになる交響曲第1番の着想を得たと言われています。終戦を迎えたガードナーは、これを音楽活動の新たな出発点と位置づけ、それまでの作品番号をリセットして、再び作品1から付番を開始するという珍しい選択をしました。

戦後、彼はまずロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスにコーチとして在籍しました。しかし、彼の作曲した交響曲第1番が、当時ハレ管弦楽団の常任指揮者であったジョン・バルビローリによって見出され、高く評価されたことを契機に、ガードナーは作曲家としての道を本格的に歩むことを決意し、オペラハウスを辞職しました。バルビローリはガードナーの作品を積極的に取り上げ、彼の名を広める上で重要な役割を果たしました。

作曲家として独立して以降、ガードナーは精力的に創作活動を展開しました。1950年代に入ると、「カール・ニールセンのワルツの主題による変奏曲」やバレエ音楽「反射」といった作品を次々と発表します。特に1957年は実り多い年となり、サマセット・モームの小説に基づくオペラ「月と六ペンス」、ピアノ協奏曲第1番、そして歌曲集「7つの歌」という、異なるジャンルの重要な3作品を世に送り出しました。

作曲活動と並行して、ガードナーは教育者としても大きな足跡を残しました。1956年にはロンドンの王立音楽アカデミーに招かれ、以降およそ20年間にわたり多くの学生を指導しました。王立音楽アカデミーを離れた後も、セントポール女学校で非常勤講師を務めたり、モーリー大学で音楽部門の責任者を担当するなど、晩年まで後進の指導に情熱を注ぎました。

彼の残した作品は非常に多岐にわたり、3曲の交響曲、3つのオペラのほか、トランペット、フルート、オーボエ、リコーダー、ファゴットといった様々な楽器のための協奏曲が含まれます。また、合唱と管弦楽のための「白い馬のバラード」といったカンタータ、そして数多くの合唱曲、室内楽曲、吹奏楽曲など、その作品リストは膨大です。ガードナーは、20世紀後半のイギリス音楽界において、多才で多作な作曲家、そして献身的な教育者として、確固たる地位を築きました。

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