ジョン・バックスター・ヘール

ジョン・バクスター・ヘイル（John Baxter Hail、1846年10月1日 - 1928年12月20日）は、アメリカ合衆国出身の宣教師であり、カンバーランド長老教会から日本へ派遣されました。彼は名誉神学博士号を持ち、兄であるA・D・ヘールもまた宣教師として活動していました。

1846年、ヘイルはイリノイ州マカムでW・S・ヘールの次男として誕生しました。1870年に按手礼を受け、牧師としての道を歩み始めます。その後、クック教会を設立し、5年間牧師を務めました。

ヘイルが日本に到着したのは1877年1月のことでした。翌1878年には、兄アレクサンダー・ヘールも来日し、兄弟は協力して大阪の西南掘江に講義所を設けました。1881年からは、紀州（現在の和歌山県を中心とする地域）での伝道活動に力を注ぎました。南海、新宮、池田、和歌山、田辺、三重、奈良など、広範囲にわたる地域を巡り、「わらじ伝道」と呼ばれる徒歩での伝道を行いました。

彼の伝道活動は、多くの人々に影響を与えました。新宮では、豪商の子弟であった大石余平が回心し、ヘイルの伝道活動の協力者となりました。また、田辺では大石余平の友人であった山内量平が回心し、洗礼を受けました。これらの出来事は、ヘイルの伝道活動が地域社会に深く根ざしていたことを示しています。

ヘイルは伝道活動と並行して、教育にも力を注ぎました。1884年には、兄アレクサンダーと共に、大阪女学院（現在の大阪女学院中学校・高等学校）の前身となるウヰルミナ女学校を創設しました。この学校は、女子教育の発展に大きく貢献しました。1893年には、兄から女学校を引き継ぎ、初代理事長に就任し、学校運営に尽力しました。

ジョン・バクスター・ヘイルは、1928年に和歌山でその生涯を閉じました。彼の日本での宣教活動は、キリスト教の普及だけでなく、地域社会の発展にも大きく貢献しました。

著書として、ヘイルは自身の日本での25年間の伝道活動をまとめた『日本伝道二十五年』(Twenty-FIve Years in Japan,1902年)を著しました。この書籍は、当時の日本の社会や文化、キリスト教の受容の様子を知る上で貴重な資料となっています。邦訳版は1978年に大阪女学院から出版されました。

ヘイルの研究は、守部喜雅の『日本宣教の夜明け』（いのちのことば社、2009年）や『日本キリスト教歴史大事典』（教文館、1988年）などにも見ることができます。これらの文献は、ヘイルの生涯と業績をより深く理解するための参考となります。

ジョン・バクスター・ヘイルは、日本のキリスト教史において重要な役割を果たした人物の一人です。彼の献身的な活動は、今日においても多くの人々に感銘を与え続けています。

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