ジョン・フィッツジェラルド (テニス選手)

ジョン・フィッツジェラルド：ダブルスの名手、その輝かしい足跡

ジョン・フィッツジェラルド（John Fitzgerald）は、1960年12月28日、オーストラリア・南オーストラリア州カミンズで生まれました。1980年代から1990年代前半にかけて、彼はオーストラリアを代表するプロテニス選手として活躍し、特にダブルスでの実績は目覚ましいものでした。

プロとしてのキャリア

1979年、ウィンブルドンでプロデビューを果たしたフィッツジェラルド。その初戦で、いきなりジョン・マッケンローとピーター・フレミングという当時の最強ペアと対戦するという試練に見舞われます。しかし、彼はこの経験を糧に成長を続け、1981年7月にはオーストリア・キッツビュール大会で、強豪ギリェルモ・ビラスを破り、シングルスで初優勝を飾りました。その翌週には、スウェーデン・バスタッド大会でマーク・エドモンドソンとペアを組み、ダブルスでも初優勝を達成。このバスタッド大会での決勝で対戦したアンダース・ヤリードとは、後にパートナーとして数々の栄光を手にすることになります。

1982年の全豪オープンでは、同じオーストラリアの先輩選手であるジョン・アレクサンダーとのペアで、初のグランドスラムタイトルを獲得。1983年から1985年にかけては、全米オープンの混合ダブルスで、エリザベス・セイヤーズとのペアで3年連続決勝に進出し、1983年には見事優勝を果たしました。セイヤーズは1984年11月に結婚し、エリザベス・スマイリーとなりますが、フィッツジェラルドは通算6度の4大大会混合ダブルス決勝進出を果たし、そのすべての試合でスマイリーとペアを組んでいます。

ダブルスでの輝かしい実績

フィッツジェラルドは、ジョン・アレクサンダーとのペアで実績を重ねた後、1984年の全米オープンでは、トマシュ・スミッド（当時チェコスロバキア）との初コンビで優勝。この大会では、スミッドとの男子ダブルス優勝に加え、セイヤーズとの混合ダブルスでも準優勝という好成績を収めました。1985年のウィンブルドンでは、自身2度目となる2部門での決勝進出を果たしますが、男子ダブルスではパット・キャッシュとのペアで、混合ダブルスではエリザベス・スマイリーとのペアで、惜しくも準優勝に終わります。しかし、1986年の全仏オープンでは、スミッドとのペアで決勝に進出し、ステファン・エドベリ&アンダース・ヤリード組を破り、見事優勝。この勝利により、フィッツジェラルドは4大大会の男子ダブルスで3冠を達成しました。

肩の手術のため、1987年は不本意なシーズンとなりましたが、1988年からはアンダース・ヤリードとのペアで好成績を連発。全仏オープンとウィンブルドンで準優勝を果たし、1989年のウィンブルドンでは、リック・リーチ&ジム・ピュー組を破り、ついにウィンブルドン初優勝を飾ります。この勝利によって、ジョン・フィッツジェラルドは男子ダブルスでのキャリア・グランドスラムを達成しました。

さらなる高みへ

1991年には、アンダース・ヤリードとのペアで年間6勝を挙げ、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープンの4大大会3連勝を達成。ウィンブルドンでは、スマイリーとの混合ダブルスでも優勝し、自身初の2部門制覇を成し遂げました。しかし、1992年の全豪オープンでは3回戦で敗退し、4大大会ダブルス4連勝を逃してしまいます。1993年の全豪オープンでは、再び決勝に進出しますが、準優勝に終わりました。

フィッツジェラルドは、日本でのプレー経験も豊富で、1988年の「セイコー・スーパー・テニス」では準優勝を果たしています。ジャパン・オープンの男子ダブルスでは、1988年にヨハン・クリークとのペアで優勝し、1991年と1995年にはアンダース・ヤリードとのペアで準優勝しました。1995年の全米オープンを最後に第一線から退き、1997年の全豪オープンが最後の試合となりました。

デビスカップでの貢献と監督としての手腕

ジョン・フィッツジェラルドは、デビスカップにおいても、1982年から1992年までオーストラリア代表選手として活躍し、1983年と1986年の優勝に貢献しました。2001年からはデビスカップのオーストラリア代表監督に就任し、2003年には監督として優勝を経験。2010年まで監督を務めました。

主な戦績

4大大会男子ダブルス優勝：全豪（1982）、全仏（1986, 1991）、ウィンブルドン（1989, 1991）、全米（1984, 1991）
4大大会混合ダブルス優勝：全米（1983）、ウィンブルドン（1991）

ジョン・フィッツジェラルドは、その卓越したダブルスの技術と、常に勝利を目指す姿勢で、多くのファンを魅了しました。彼の輝かしい実績は、オーストラリアテニス界の歴史に深く刻まれています。

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