ジョン・マイルズ

ジョン・ジェレミー・マイルズ：華麗なるキャリアと惜しまれる最期

ジョン・ジェレミー・マイルズ (1943年6月14日 - 2018年4月8日) は、イギリス出身のレーシングドライバーです。F1世界選手権に参戦した経験を持ちますが、彼の真価はエンジニアリングスキルにありました。俳優である両親の影響を受け、幼い頃から車に囲まれた環境で育ち、16歳で最初の車を手に入れてからは、レースへの情熱を燃やし続けました。

華麗なるレースキャリアの始まり

オースチン・7でレースデビューを果たしたマイルズは、その後ディーヴァ・GTに乗り換え、イギリス国内のスポーツカー選手権で頭角を現します。1964年のニュルブルクリンク1000kmレースでは1,000ccクラスで優勝を収め、才能の高さを証明しました。しかし、彼は当初フォーミュラカーには興味がなく、スポーツカーレースでの成功を目指していました。

ロータスでの活躍とF1への挑戦

転機は、著名なエンジニア、ジェフ・ユーレンとの出会いでした。ユーレンのアシスタントとして働きながら経験を積み、ロータス・エランで数々の優勝を収めた彼の才能は、コーリン・チャップマンの目に留まります。1967年、チーム・ロータスに正式加入。スポーツカーレースと並行してフォーミュラ3にも参戦し、1968年には国際格式のレースで4勝を挙げました。

1969年、ロータスは全輪駆動のF1マシン、ロータス63を開発。しかし、チームの主力ドライバーは旧型マシンを好みました。そこで、マイルズが63のドライバーに抜擢されます。フランスGPでF1デビューを果たし、イギリスGPでは10位で完走。63をレースで完走させた唯一のドライバーとなりました。

1970年、チームメイトのリントが事故死するという悲劇に見舞われます。その年のイタリアGPがF1での最後のレースとなり、ドライバーとしてのキャリアを終えました。

エンジニアとしての成功

F1ドライバーとしての評価は高くありませんでしたが、その卓越したエンジニアリングスキルは高く評価されていました。レーシングドライバー引退後は、自動車エンジニアとして30年以上活躍。ロータス・エンジニアリングやアストンマーティンなどでロードカー、F1マシンの開発に携わり、多くの功績を残しました。イギリスの『オートカー』誌では、路上テストのレビュー記事も執筆していました。

人となり

マイルズは、グラハム・ヒルとは良好な関係を築いていましたが、リントからはF1ドライバーとしての資質を疑問視されていました。自身でもその評価は正しいと考えていたようです。

また、チーム・ロータスでは、チャップマンとはエンジニアリングの考え方に違いがあったと語っています。彼は、チャップマンとは対照的な堅実な設計者たちに近い考え方を持っていたようです。経済的に苦労した時期もあり、チャップマンから直接お金を受け取ったエピソードも残っています。

1970年のイタリアGPでは、リントの事故死という悲劇に直面し、レースを棄権しました。彼は、リントの事故原因について、様々な説がある中で、ブレーキシャフトの破損が原因だと主張しています。

引退後も自動車業界で活躍し続け、晩年には若い世代のエンジニア育成にも尽力。2000年代には、モダンジャズ専門のレコードレーベルを経営するなど、多才な一面も持ち合わせていました。

惜しまれる最期

2018年、軽度の脳卒中により死去しました。彼のモータースポーツ界への貢献は計り知れず、多くのファンに惜しまれつつ、その生涯を閉じました。彼の功績は、現在も若い世代のドライバーやエンジニアたちに受け継がれています。彼の名前は、モータースポーツ史に永遠に刻まれるでしょう。

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