ジョン・ミルン

ジョン・ミルン：日本の地震学の父

ジョン・ミルン（John Milne、1850年12月30日 - 1913年7月31日）は、イギリスのリバプールで生まれました。彼は、鉱山技師、地震学者、人類学者、考古学者として多岐にわたる分野で活躍し、特に日本における地震学の基礎を築いた人物として知られています。東京帝国大学の名誉教授も務めました。

日本への貢献

ミルンは1876年（明治9年）に工部省工学寮の教師として日本に招聘されました。来日後、彼は日本各地で精力的に研究活動を展開しました。1877年（明治10年）には函館で研究調査を行い、アジア協会誌に「渡島の火山を訪れて」と題した報告論文を発表。また、浅間山に登り、活火山の珍しさを英国に報告しました。

1878年（明治11年）には、エドワード・S・モースやトーマス・W・ブラキストンらと共に函館の貝塚を発掘調査し、根室市の弁天島でも貝塚を発見しました。彼は、縄文時代の大森貝塚の絶対年代を2640年前と推定しました。

1880年（明治13年）には、日本地震学会を創設し、日本の地震学の発展に大きく貢献しました（日本地震学会は明治25年（1892年）に解散）。1881年（明治14年）には、願乗寺（西本願寺函館別院）の住職・堀川乗経の長女である堀川トネと結婚しました。

地震学の発展

1886年（明治19年）に東京帝国大学が設置されると、工学部で鉱山学と地質学を担当しました。同年には著書「地震とその他の地球の運動」を出版し、地震学の知識普及に貢献しました。1887年（明治20年）には、王立協会のフェローに選出されています。

1894年（明治27年）には、彼の名を冠した「ミルン水平振子地震計」を制作しました。この地震計は、地震の揺れを記録するための重要な装置であり、現在も重要文化財として国立科学博物館に展示されています。

1895年（明治28年）にトネ夫人と共にイギリスに帰国し、南イングランドのワイト島シャイドに住居を構え、研究を続けました。その後、東京帝国大学名誉教授の称号を受けています。1898年（明治31年）には、著書『地震学』を出版し、地震学の分野における彼の知識と経験を共有しました。

晩年とその後

1913年（大正2年）、ミルンはイギリスで63歳で亡くなりました。彼の死後も、彼の研究は日本の地震学に大きな影響を与え続けました。1919年（大正8年）には、トネ夫人が病気のため函館に戻り、1925年（大正14年）に亡くなりました。北海道函館市船見町には、ジョン・ミルン夫妻の墓があります。

ミルンの功績は、地震学の分野にとどまらず、日本の近代化にも大きく貢献しました。彼の研究や業績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

受賞歴

1894年：ライエル・メダル
1906年：ベーカリアン・メダル
1908年：ロイヤル・メダル

主要著書

『地震とその他の地球の運動』（1886年）
『THE GREAT EARTHQUAKE OF JAPAN』（共著、1892年）
『地震学』（1898年）

もう一度検索