ジョン・P・ハモンド

ジョン・P・ハモンド：ブルースの魂を継ぐギタリスト

ジョン・P・ハモンド（John P. Hammond）は、1942年生まれのアメリカのブルース歌手、ギタリスト。伝説的なレコード・プロデューサー、ジョン・ハモンドを父に持ち、その才能を受け継ぎました。

生い立ちと音楽への目覚め

ニューヨークで生まれたハモンドは、幼少期から音楽に囲まれた環境で育ちました。高校時代にギターを始め、ジミー・リードの音楽に強い影響を受け、音楽の道を志すようになります。アンティオーク・カレッジを中退後、本格的に音楽活動を開始し、グリニッジ・ヴィレッジを中心に全米で公演を行うようになりました。

ミュージシャンとの交流

1960年代中期、ニューヨークで活動する中で、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、ザ・バンド、ドクター・ジョン、デュアン・オールマンなど、数多くのエレクトリック・ブルース・ミュージシャンと親交を深め、共に音楽を作り上げました。特に、クラプトンとヘンドリックスが同じバンドに参加したのは、ハモンドのステージが唯一の機会だったと言われています。

音楽スタイルと評価

ハモンドは、主にアコースティック・ギター、特にナショナル・ギターを愛用し、バレルハウス・スタイルの歌唱法でブルースを表現します。1962年のデビュー以来、34枚のアルバムを発表し、グラミー賞にも複数回ノミネートされるなど、高い評価を得ています。

批評家からは称賛される一方で、商業的な成功は大きくありませんでしたが、ジョン・リー・フッカー、ルーズヴェルト・サイクス、デュアン・オールマン、ロビー・ロバートソン、チャーリー・マッスルホワイトなど、多くのミュージシャンから尊敬を集めています。

知られざるエピソード

ザ・バンドがボブ・ディランと出会い、世界的な成功を収めるきっかけを作ったのは、ハモンドだったというエピソードは、あまり知られていません。また、ドクター・ジョン、マイク・ブルームフィールドとのコラボレーション・アルバム『三頭政治』は、音楽史に残る異色の作品として評価されています。

トム・ウェイツとの友情

シンガーソングライターのトム・ウェイツとは長年の友人であり、2001年にはウェイツが全曲を作曲し、プロデュースも担当したアルバム『Wicked Grin』を発表。伝統的なブルースに新たな息吹を吹き込みました。

近年の活動とブルースの殿堂入り

近年も精力的に活動を続け、2009年にはアルバム『Rough and Tough』がグラミー賞にノミネートされました。2011年には、ブルース界への貢献が認められ、ブルースの殿堂入りを果たしました。

ジョン・P・ハモンドは、ブルースの伝統を守りながらも、常に新しい音楽に挑戦し続ける、真のブルースマンです。彼の音楽は、世代を超えて人々の心に響き、ブルースの魂を伝え続けています。

ディスコグラフィー (一部)

John Hammond (1963年)
Big City Blues (1964年)
So Many Roads (1965年)
Southern Fried (1969年)
Triumvirate (1973年) ※マイク・ブルームフィールド、ドクター・ジョンとの共作
Wicked Grin (2001年) ※トム・ウェイツプロデュース
* Rough & Tough (2009年)

もう一度検索