ジョー・ヒガシ

ジョー・ヒガシ：ムエタイの王者とその軌跡

ジョー・ヒガシは、SNKの格闘ゲーム『餓狼伝説』シリーズを中心に活躍する人気キャラクターです。ムエタイのチャンピオンとして知られる彼は、日本人離れした体格と、日の丸の鉢巻がトレードマーク。祖母から贈られたこの鉢巻は、彼の揺るぎない大和魂の象徴となっています。

餓狼伝説シリーズにおけるジョー

初代『餓狼伝説』から登場し、テリー・ボガード、アンディ・ボガードと並ぶ主要キャラクターのひとりですが、彼ら兄弟とは異なり、ギース・ハワードとの直接的な因縁はありません。ストーリーにおける重要度はボガード兄弟にやや劣るものの、格闘家としての圧倒的な強さはシリーズを通して認められており、初代作品ではギースから「ハリケーンアッパーのジョー」と呼ばれ警戒されていました。

小説版では、大阪府吹田市出身の不良少年からボクシングを経てムエタイの道へ進んだという、より詳細なバックストーリーが描かれています。当初は強さを求めるストイックな性格でしたが、シリーズが進むにつれて陽気で豪快な性格へと変化。外見はキャラクターデザイナーのスケッチに「柳葉敏郎に似ているかもしれない」というメモが残されているほど、個性的な容貌をしています。アニメ版の影響もあり、『餓狼伝説3』以降はアニメ版のイメージに近いデザインに変化していきました。

ムエタイにおけるライバル、ホア・ジャイとの関係も興味深い点です。ジョーに敗北したホアはギースの配下となりますが、『餓狼伝説2』以降はジョーのセコンドとして彼の傍らにいます。エンディングや『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』では、ホアがジョーと共に登場する場面が見られます。『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』では、近所の子供たちにムエタイを教える先生という一面も明らかになっています。

ビリー・カーンの妹、リリィ・カーンとの関係もシリーズを通して描かれています。ジョーはリリィに好意を抱いているようですが、ビリーの厳重なガードによって関係は進展せず、『餓狼伝説3』のエンディングではデートに誘うも、ビリーの怒号と三節棍が彼の邪魔をするというユーモラスな描写が見られます。

『餓狼伝説2』と『餓狼伝説スペシャル』では、タイ王国のチェンマイが彼の戦いの舞台となります。ステージ背景には、籠を編む5人の人物が登場し、独特の雰囲気を醸し出しています。ラウンド4まで進むと、湖の奥に謎のシルエットが出現し、5人がそれを拝むという、シリーズ独特のミステリアスな演出も見られます。『餓狼 MARK OF THE WOLVES』には直接登場しませんが、最強のムエタイファイター育成に励んでいるという設定が語られています。『餓狼 City of the Wolves』には彼の弟子、プリチャが登場します。

他のSNK作品におけるジョー

『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズでは、ボガード兄弟と共に「餓狼伝説チーム」として参戦。作品が進むにつれてコミカルな役回りも担うようになり、『KOF'96』から『KOF'98』、『KOF'99』、『KOF2001』などでは、パンツを下ろすという過激なギャグシーンも存在します。『KOF XI』ではムエタイのタイトルマッチに専念するため欠場していますが、エンディングには登場します。『KOF XII』以降は再び参戦しています。

同じムエタイ使いであるキングとは、ライバルというよりは、生意気な後輩のような関係性です。『KOF'98』の対戦前デモでは、ジョーがキングにチャンピオンベルトを見せつけるシーンが見られます。『KOF MAXIMUM IMPACT』シリーズでは直接登場しませんが、サイドストーリーでアジア系の少女、クァンを弟子にしていることが明らかになり、『KOF XIII』でもこのクァンについて言及しています。

『CAPCOM VS. SNK』シリーズでは、1作目ではエンディングでのみ登場していましたが、『PRO』以降はプレイアブルキャラクターとして参戦。ライバルはダンやサガットといった格闘家です。

ジョーの技

ジョーの技は、ムエタイをベースとした多彩な蹴り技と、パンチ技が特徴です。代表的な必殺技である「ハリケーンアッパー」は、地面を這う竜巻状のパンチで、初期作品では相手を画面端まで吹き飛ばす威力がありました。「タイガーキック」は、全身をオーラで包んだ飛び膝蹴りです。また、「爆裂拳」は高速のパンチを連打する技で、派生技も多数存在します。その他にも、「黄金のカカト」、「プレッシャーニー」、「スクリューアッパー」など、個性的な必殺技を数多く持ち、シリーズを通して進化を遂げています。

その他メディアでのジョー

アニメ版では、格闘家の佐竹雅昭氏がモデルとなっており、彼のイメージが反映されています。漫画版では、ゲーム版初期の硬派な性格が強調されています。

まとめ

ジョー・ヒガシは、その強烈な個性と高い戦闘能力で、長きに渡りSNKの格闘ゲームを代表する人気キャラクターとして君臨しています。ムエタイをベースとした豪快な戦いぶりと、コミカルな一面を併せ持つ彼は、多くのファンを魅了し続けています。彼の活躍は、これからもSNK作品において、重要な役割を果たしていくことでしょう。

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