ジル・ヘザリントン

ジル・ヘザリントン (Jill Hetherington)

ジル・ヘザリントンは、1964年10月27日にカナダのオンタリオ州ブランプトンで生まれた女子プロテニス選手である。彼女は1980年代後半から1990年代前半にかけて、主にダブルスのスペシャリストとして活躍し、その実績は数多い。ヘザリントンは、自己最高ランキングをシングルス64位、ダブルス6位とし、WTAツアーでシングルス1勝、ダブルス14勝を収めた。

来歴

ヘザリントンはジュニア時代から、アメリカのパティ・フェンディックとパートナーを組むことが多かった。1983年には、二人はオレンジボウル選手権の18歳女子ダブルス部門で優勝し、その後プロ入り。1984年には全仏オープンで四大大会に初めて出場した。

1988年はヘザリントンにとって特に成功を収めた年で、シングルスではニュージーランドのファーンリーフ・クラシックで初の優勝を遂げ、ダブルスでも年間5勝を挙げた。同年の全米オープンでは、ヘザリントンとフェンディックが女子ダブルス決勝に進出し、シュテフィ・グラフ＆ガブリエラ・サバティーニ組を準決勝で破る快挙を成し遂げたが、決勝ではジジ・フェルナンデス＆ロビン・ホワイト組に敗れた。

その後、ヘザリントンは1988年のソウル五輪にカナダ代表選手として出場。シングルスと女子ダブルス両方に参加したが、どちらも2回戦で敗退した。1989年の全豪オープンでもフェンディックとペアを組み決勝進出を果たすが、マルチナ・ナブラチロワ＆パム・シュライバー組に敗れた。ナブラチロワたちは1982年から全豪オープンで連続優勝を記録しており、ヘザリントンとの試合はその連勝を断つ重要な瞬間となった。

1989年4月には、日本で行われたジャパン・オープンの女子ダブルスでエリザベス・スマイリーとペアを組んで優勝し、その後、ヘザリントンとフェンディックはペアを解消。以降、いくつかの選手たちとコンビを組んだが、1991年からはキャシー・リナルディと組むことが多くなった。リナルディとのコンビネーションでも、優勝2回と準優勝10回という成績を残した。

1994年からはシングルス戦を退いて専らダブルスに集中し、1996年までカナダ代表としてフェデレーションカップに出場。シングルスの出場はしなくなったが、ダブルス戦では引き続き実力を発揮し続けた。1995年には全仏オープンの混合ダブルスで準優勝を果たし、ここで彼女の四大大会での最後の活躍を見せた。相手ペアに接戦の末に敗れたが、その試合は彼女のテニスキャリアの華やかなフィナーレとなった。

1996年アトランタ五輪では、女子ダブルスでベスト8に進出。その後、1997年には全米オープンでの女子ダブルスをもって現役を引退。ヘザリントンは、15年にわたりダブルス選手としてのフルキャリアを通じて、数々の名勝負を演じ、印象的な足跡を残した選手である。

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